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闇夜に紛れて鳴く不如帰

第1章 彼女を2度愛したA


でも今回は違かった。

『…敦くん』

「どうかした?」

『その…今度の金曜の夜…絶対空けてもらえない?
大事な話があって…』

「そんなふうに言われると気にするなぁ、わかった」

そう言うとホッとした顔で当日迎えにいくので仕事の終わり次第連絡をすることと約束した後、いつも通りに過ごした。

キスはするがそれ以上まだ進むことはなく、それはお互い潔癖だからとかではない。
単純に交際が初めてな僕はどうしたらいいのか良くわからず、尚且つ彼女を大事にしたい気持ちが強かったからだ。
それは彼女も良く理解してくれてこんな不甲斐ない僕を受け入れてくれる。

あぁ本当に愛しい。







仕事帰りに行きつけのバーで一人で飲む。

ここは敦くんには教えていない私のお気に入りの場所、一緒に過ごせない日にはカクテルを飲んで夜を明かす。

「またそんなジュースみたいなものを飲んでるのか手前は」

そう言って私の隣に座るのはポートマフィア幹部の中原中也。

『ビールなんか飲めばそんな小便みたいなものをって言うんでしょ』

「ちげえねぇ」

『そんなことより、何でアンタがここにいるのさ
報告の日にちはまだでしょ』

「言うねぇこれでも心配して来てやってるのに
ハニートラップでターゲットに仕掛けたものの、そのターゲットに骨抜きにされてるんじゃないかってね」

『ばっかじゃないの…』

「どうなんだ実際」

『…上手くいってるわよ、この調子だと今月中には何とかなるんじゃない?』

「自信満々だな」

『抜かりないわよ、何たって70億の額は大きいからね…』

「怖い女だ」

『何だってどうぞ!それより飲みなさいよ奢るから』

「へぇ偉く気前が良いじゃねぇか」

『どうせターゲットくんとは今夜会えないし…それに…一人の夜は嫌いだもの…』

「じゃあこの後手前を頂いても文句はないわけだな」

そう言って腰を回してくる彼の手を払いのける。

『誤解しないで、私は確実な身の安全を条件にポートマフィアに敦くんを生け捕りで引き渡すだけの雇われのフリーの殺し屋よ
ポートマフィアに友好な関係を築くつもりもアンタのお気に入りにもなるつもりもないの』

「良いねぇじゃあ公私混同の心配もないわけだ
手前、一体何人殺めたって云うんだよ」

『…そんなのいちいち数えたりしないわ
私は退屈じゃなければそれで良いの…』
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