第9章 ♢845年♢
「…嘘…」
目の前の光景に唖然とした
マリアの門まで破壊されてしまった
今姿は見えないが
確実にどこかにいる壁を超える大きさの巨人
鎧を纏った巨人
奴らがそのまま次の門を壊していったら
人類は…終わりだ
ズキズキと痛む足を庇いながら
少しでも門から中に入る巨人を
倒そうと立ち上がった
その時
「リアっ!!」
目の前にリヴァイが降り立った
「リヴァイ…!良かった…無事だったんだね」
「あぁ」
リヴァイは手短に返事をすると
リアを抱き上げた
「えっ!何!?」
突然のことに驚き
思わずリヴァイの胸を押し返すが
ビクともしない
「…お前、珍しく怪我してるだろ。…ここはもう諦めるしかない。俺はエルヴィンから撤退を命じられてお前を迎えに来た」
「そんな…諦めるなんて」
悔しがるリアを見つめながら
壁外調査から帰ったばかりな上に
壁を壊されたと言う情報が届き
混乱状態な調査兵団をなんとか抜け出してきたら
駐屯兵から女の調査兵が戦ってると聞いて
お前がここにいると分かったんだとリヴァイは言った
「そうだったんだね…」
「ったく、一人で無茶しやがって…。じいさんは無事か?」
リアを抱えたまま軽々と立体機動を使い
ウォールマリアの壁を登りながら問う
「分からない…だけど、大型の巨人が現れてすぐに避難したと思うから、きっと無事でいてくれるはずっ」
「そうか」
ならいい、と優しい顔を見せたリヴァイ
ドキンと胸が鳴り頬に熱が集まる
思わずリヴァイの胸に顔を寄せて
赤くなった頬を隠した
壁上に着くと
一旦リアを下ろしたリヴァイ
そのままつい先程まで買い物をしていた町を見下ろす
「一瞬にして町が…」
壊滅してしまった
振り向くと
ウォールマリアに次々と流れ込んでいく巨人と逃げ惑う人々
私はなんて無力なんだろう
思わず唇を噛み
握った拳に力が入る
「俺らも所詮人間だ…出来る事と出来ない事がある。今はエルヴィンの命令に従う事が最優先だ」
行くぞ
リヴァイがそう言うとまたリアを抱え
ウォールローゼに向かい飛び出した