第7章 ♢現実と休息♢
「はぁ…」
リヴァイが出て行った扉を見ながら溜息を吐く
こんなんでこれからやっていけるのだろうか
好きなのを隠すというのは随分
大変だという事に今更ながら気づいた
「とりあえず、行こう」
気合を入れるために頬をペチンと叩き
女子寮と男子寮との間にある
中庭でリヴァイを待とうと部屋を出た
中庭に着くと
よく座るベンチに腰掛ける
季節は秋、花壇にあまり花は無いが
春になったら見れるだろう光景を思い浮かべ
ぼーっと眺める
「あれ?君は…」
聞き覚えのない声が聞こえ
そちらを見ると
リア達より少し先に調査兵団に入った
「こんにちは、エルドさん?でしたっけ?」
エルドが居た
「嬉しいな。名前、知ってくれてたんだね。君はリアだよね?前訓練してる所を見かけて凄いなと思ってたんだ」
そう優しく笑うエルド
班も違く会話した事も無かったが
立体機動の腕がいいと耳にした事がある
初めて近くでみる彼にハンサムだなぁと
ぼーっと顔を見ながら思うリア
「また今度訓練で一緒になったら色々と教えて欲しいな」
「いえ、こちらこそ、色々と教えて下さい!」
ぼーっとしているリアに苦笑しながら
言ったエルドだったが
リアの謙虚な発言に少し驚いたように目を開く
リア達と直接関わりは無かったものの
地下街出身という事であまり良くない噂を耳にしていた
だが、リアの礼儀ある態度や発言を聞き
やはり噂は嘘だったと確信した
そして改めてリアを見ると
整った顔立ちに意志の強そうな瞳
こんな小柄で可愛い女の子が
立体起動で空を飛ぶと
たちまち精鋭の兵士と並ぶのだ
とても魅力的だ
「君に教えることなんて…俺にはないよ。リア、これからもよろしくね」
そう微笑みながら握手を求める
「よろしくお願いします。エルドさん」
リアも笑顔で返し
差し出された手を握る
「俺の事はエルドでいいし、敬語もいらないよ」
多分、俺のが年下ですし
とエルドは舌を出し茶目っ気たっぷりに言った
「アハハッ、じゃあお言葉に甘えて、よろしく!エルド」
リアは思ったよりお調子者のエルドと
仲良くなれそうな気がして嬉しくなり
心からの笑顔を見せた