第6章 ♢悔いなき選択♢
振り下ろされた刃は
エルヴィンが手で握り受け止められていた
「くだらない駆け引き?私の部下を…お前の仲間を殺したのは誰だ?私か?お前か?共に私を襲いに来ていれば2人は死なずに済んだと思うか?」
リヴァイはその問いに唇を噛む
「そうだ…俺の驕りが…俺のクソみてぇなプライドが」
あの時離れなければ…
言って更に悔しさがこみ上げる
だが
「違う!…巨人だ!」
そうエルヴィンは言った
「巨人はどこからきた?何のために存在している?何故人間を食う?分からない…我々は無知だ。無知でいる限り巨人に食われる。壁の中にいるだけではこの劣勢は覆せない。」
エルヴィンの調査兵団への強い思い
あの2人を殺した巨人とは何なのか
「…周りを見ろ。どこまで走っても壁のないこの広大な空間に我々の絶望を照らす何かがあるかもしれない」
周りには美しい大地
見えないあの先には何があるのだろう
それを見てみたい
リアは純粋にそう思った
だが…
とエルヴィンは話続ける
「壁を越えるのを阻む人間もいる…奴らは危険の及ばない場所で自分の損得を考えるのに血眼になっている。無理もない。100年もの間壁に阻まれて曇ってしまった人類の眼には向こう側の景色が見えていないのだ」
エルヴィンはリヴァイを真っ直ぐ見つめる
「お前はどうだリヴァイ、お前の眼は曇ったままか?私を殺して暗い地下に逆戻りか?」
光が差し
エルヴィンを後ろから照らす
…この人は…
「私たちは壁の外へ出るのを諦めない。調査兵団で戦えリヴァイ!お前の能力は人類にとって必要だ!そして、リア。君もだ」
ドクン
エルヴィンの真っ直ぐな瞳に、言葉に
心臓が高鳴った
古城でファーランが言っていた言葉を思い出す
「お前らが人類に心臓を捧げる!って言い出す前になんとかしなきゃな〜」
ファーラン…
もっと早くこの人と話が出来ていれば
私たちの未来は違っていたのかもしれない
私たちはただ利用されていたんじゃなかったんだ
ふとリヴァイを見上げると
驚いたようにエルヴィンを見つめていた
この人に着いて行く
きっとリヴァイもそうだ
彼の思い描く未来に興味がある
私たちが目指していた自由は
壁内には無い