第6章 ♢悔いなき選択♢

辺りに立ち込める蒸気
雨はまだ降り止まない

ボーっと雨空を見上げているリアの
少し先に降り立ったリヴァイは
足元を見て固まった

不思議に思い視線を下げ同じ場所を見やると


ーバッ


リヴァイが勢いよくしゃがみ
何かに手を当てた


嫌な予感がして近づくと
そこにあったのは



イザベルの頭だった



「うっ…うぅっ…うわぁああぁあ！！」



堰を切ったように涙が溢れ
叫ぶ声も我慢出来ない

イザベル…

イザベルとの記憶が蘇る
いつも笑顔で優しくて仲間思い
出会った時からリアを信じてくれて
そしてリアを家族だと言ってくれた

可愛いフワフワの赤毛を
今朝も当たり前のように結った
…そんな日常ももう訪れない


私のせいだ…
後悔の念が押し寄せる


ーフワッ


嗅ぎ慣れない匂いが鼻を掠めた
止まらない涙と嗚咽を出しながら
目を開けると
リヴァイに抱きしめられていた

「リヴァ…ごめ、なさ…私、約束…守れなかっ、た…イザベルも…ファーラン…も…私のせいで…」

リヴァイの腕に力が込もる

「お前のせいじゃない…。お前は、よくやった」

悪いのは俺だ
俺の選択が間違っていたんだ

そう言いリヴァイはリアの肩に顔を埋める

そんなことない！
リヴァイのせいじゃない！

リアはそう言おうとしたが
肩に感じた雨ではない
温かい何かの正体に気づき
何も言えず

ただ、抱きしめる腕に力を込めた