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【進撃の巨人】trapezium【リヴァイ】

第6章 ♢悔いなき選択♢





「…ッカハッ、…クッ」

「ファーラン!?」

勢いよくむせ返ったファーランに
驚くリア
息を吹き返したのだ

涙が止めどなく溢れ
雨と一緒に流れ落ちていく

「ファーラン…良かったぁ…」

「…俺…食われた、筈…だが」

涙を流すリアの頬に
ゆっくり手を伸ばすファーラン
思わずその手を握り微笑む

「リヴァイがね、巨人のお腹を切ってファーランを出してくれたの、その後私が心肺蘇生してたら、息を吹き返してくれてっ」

「俺、多分…そう…長くはねぇ…」

嬉しそうに話すリアに
申し訳なさそうに言うファーラン

ハッとリアから笑顔が消える

「え…?そんな事ないよ!すぐ壁内に戻ってお医者さんに見てもらえば」

何を言いだすんだと
リアが言った瞬間

「ガハッ、」

ファーランが咳き込み血が飛び出した

「…ファーラン…」

その時リアは
大きな傷は足のみだと思っていたが
恐らく巨人の体の中で臓器が潰れてしまったのだと察した

「…リア、最期…に、お前と、キス、できて…よかった、お前と、出会えて…良かった…」

いつものようにへらっと
だがいつもより力なく笑うファーラン

ファーランの手を握る
リアの手が震える

「キスって…またそんなこと言って…私、も…ファーランに会えて良かった」

最期までお調子者な彼に
一度止まった涙がまた溢れ出る

「…アイツを、…リヴァイを頼むぞ。強いようで…弱い、アイツに、必要なのは…お前だ…」

そして最期まで自分の事より
人のことを心配するファーラン

リヴァイにはあなたも必要だよ…
私にも…

「ファーラン…やだよ、ファーランが居ないなんて私っ」

「リア、幸せになれよ」

ニッといつもの笑顔を見せた
その瞬間
静かに目を閉じ
リアが強く握っていた手から
力が抜けた

「ファーラン…!ファーラン!ぅう…っく」

ファーランと過ごした日々が
走馬灯のように蘇る
お兄さん的存在でいつも一歩引いて私たちを見てた
場を和ませるのが得意で
お調子者で、でもどこか冷静で
ファーランに何度助けられたか分からない
彼に抱いていた感情は
恋慕ではない…が尊敬、敬愛
そういったものだった

かつて人にこのような感情を
抱いたことがあっただろうか?



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