第6章 ♢悔いなき選択♢
「うわっ!」
突然後ろから聞こえたファーランの声に
嫌な予感がし振り向くと
彼の目の前に巨人がヌッと現れ
驚いた馬がぬかるみに足を滑らせ
落馬し、ファーランは地面に転がり込んでいた
つまり彼のすぐ目の前には巨人がいる
「ファーラン!」
リアよりファーランの近くにいた
イザベルが咄嗟に動き
ファーランに手を伸ばしていた巨人の指を切り落とした
そのまま立体起動にうつり
アンカーを巨人の肩に刺すと
飛び上がり頸を削いだ
…筈が、場所がズレ肩を切っていた
「クソッ、もういっちょ!」
そういい再びアンカーを背中に刺したイザベル
「イザベル!私は膝を!」
「おう!頼んだ!」
その姿を確認し
リアは補助しようと
巨人の前に回り込み膝を削ぐ為
腿にアンカーを刺した
ーズルッ
「あっ」
その瞬間イザベルは雨で濡れた
巨人の背中に足を滑らせワイヤーでぶら下がってしまった
だがリアはそれに気づかず
ーザシュッ
勢いよく膝を削ぎ落とした
イザベルが仕留めるだろうと思いながらも
バランスを崩しよろめく巨人の
額にアンカーを刺し空へ飛び上がる
その瞬間、たった今膝を削いだ巨人の後ろに
もう一体巨人がいるのが見えた
「え…」
イザベルは?
急いで頸周辺を確認するが居ない
何かトラブルがあったのだろうか?
一旦離れて体制を立て直しているのだろうか?
とにかくこの巨人の頸を削ごう
そう思い飛び上がったまま
首にアンカーを刺し直し
勢いのまま頸を削ぎ落とした
するとその背中の下の方で
ワイヤーでぶら下がり動かないイザベルを見つけた
「イザベル!!」
リアは叫びながら
そこでようやく気づいた
もう一体の巨人はイザベルを狙っていたのだ
「あ…あにき」
ーブチュ
「いやぁああぁあ!!!!」
イザベルは
リアが討伐した巨人の背中と
背後にいた巨人に挟まれ
リヴァイを呼ぶ声だけを残し
無常にも潰された
ードシャア
「嘘だ…イザベル…」
前に倒れ蒸気をあげる巨人の上に立ち尽くすリア
その背後にいた巨人はイザベルの血に塗れた口をニタァと歪ませながら
リアに手を伸ばした