第6章 ♢悔いなき選択♢
ードドドドドッ
「全体、長距離索敵陣形に展開せよ!」
エルヴィンの掛け声に
兵士全体が動き配置につく
調査兵団初の試みが始まった
ードッ
ードッ
ードッ
リア達が配置につくとすぐ
空に赤い信煙弾があがった
次々に空にあがる赤
それが中央まで届くと
緑の信煙弾が方向を定めあがった
「…見事なもんだ」
思わず感嘆の言葉が漏れるリヴァイ
「こんなに大きな部隊が1つの生き物みたい!」
リアも驚きの声をあげる
この世界はとにかく不便だ
たまに元の世界に戻って
便利な物を持って帰ってきたいと思うほどに
今までこうやって作戦を練っては
試し、また作戦を練りを繰り返し
被害を減らし、少しでも先に進んでいけるように
してきたのだ
その中でも今回のエルヴィンの作戦は
今まで誰も考えつかなかったもので
この作戦が成功した暁には
恐らく今までにない成果が得られるであろう
そう確信できる
それ程までに彼は頭が切れ、評価されている
「やっぱり只者じゃないな、エルヴィン分隊長は」
昨日と違い、いつも通りの雰囲気に戻った
ファーランがリアと同じ事を
考えていたようでそう言った
「ファーラン、何かあった?」
寧ろいつもより上機嫌に見えるファーランに
思わず質問するが
ニッと笑顔で返された
「?」
「ファーラン、なんか変だな?」
ファーランの謎の機嫌に
リアとイザベルは頭に?が浮かぶ
事情を知っているリヴァイは
ただその様子を無言で眺め
リアに視線を移す
昨日ファーランに言われた言葉を思い出すと
胸の中に何かフツフツ湧き上がるものを感じ
「…チッ」
訳がわからず思わず舌打ちをした