第6章 ♢悔いなき選択♢
「…で、話とはなんだファーラン」
殆どの兵士が眠りにつく中
リヴァイとファーランは古城の外に出ていた
「…俺らは明日無事に壁内に帰れるのか?こんな目に合うなら4人であのまま地下で暮らしていれば良かった…」
ファーランは胸にしまっていた気持ちを
リヴァイに話す
イザベルやリアの前では
到底恥ずかしくて言えない
「…」
リヴァイは無言でファーランを見つめる
「…お前は強い。大切な物を守る力がある。…たが、俺にはそれがない。イザベルは勿論だが、…リアを…アイツを危険な目に合わせたくないんだ」
ファーランは続ける
「俺は、リアが好きなんだ」
そう言ったファーランの瞳は
先程まで弱気を吐き揺らいでいたものとかけ離れ
真っ直ぐ強い瞳だった
ドクン
リヴァイの心臓が跳ねた
この感情は…何だ?
「明日壁内に戻ったら、リアに俺の気持ちを伝えようと思ってる。リアにもそう伝えた」
だから先にリヴァイに言っとかなきゃと思ってな
と、いつものヘラッとした顔でファーランは言った
「…別に俺に許可を取らなくても良かったが」
そう言ったリヴァイの顔を見て吹き出すファーラン
「ブッ、お前今自分がどんな顔してるか分かっててそれ言ってんのか?アハハッ」
「…」
お腹を抱えて笑っているファーランに
鋭い睨みを効かせるが効き目はない
「俺のものになってから、自分の気持ちに気付いて恨んだりするなよ」
涙目になりながら言うファーラン
「よく分かんねぇことばかり言いやがって…俺はもう寝るぞ。明日も早ぇんだ」
不機嫌そうな顔で、リヴァイは踵を返した
「リヴァイ!」
その声に振り返ると
「お前に出会えて良かった。ありがとな!明日は絶対4人で壁内に帰ろう。依頼の件は、帰ってから考えるぞ!」
「…なんだ突然、気持ち悪ぃな」
そう言いながらも口角を少し上げ
肩を並べたファーランの背中をバシッと叩く
「いってぇ!お前…力の加減ってものを」
「アイツらは俺らが守るぞ」
強く叩かれた背中をさすりながら言う
ファーランを遮ったリヴァイ
その発言に少し目を見開く
俺ら…か
やっぱりコイツには敵わねぇな
実力も、…恐らく恋も
そう思いながらリヴァイを見つめ
「おう!」
笑顔で返事をしたファーランだった