第6章 ♢悔いなき選択♢
「やはり…殺るしかねぇだろ」
寝床に戻り書類が無かったことを
リヴァイに伝えると
暫しの沈黙の後そう答えた
「そうは言ってもな…簡単に殺れる相手じゃないぜ」
冷や汗をかきながらファーランが言う
リアはそんなに急がずとも
様子を見ながらでも遅くないのではないかと思い
伝えようと口を開こうとした瞬間
「ちょっといいかな」
聞きなれない声がした
「やぁ、見ていたよ。決定的瞬間!」
振り返るとそこには
今まで話したことのない女兵士が
笑顔で立っていた
ファーランとイザベルは
話を聞かれた?と瞬時に目配せするが
リアにはリヴァイを見るその兵士の瞳が
悪いものには見えず、ただ見つめていた
「決定的瞬間?なんのことだ…」
リヴァイが後ろ手にナイフを取り出したのが分かった
「ちょっ…リヴァ」
リアが止めようと声を出した瞬間
「なにって…君が巨人を倒すところに決まってるじゃないか!ホント凄かった!思わず滾ったよ!!」
大興奮で眼鏡を光らせ言う彼女に
思わず吹き出すリア
ファーランとイザベルは
なんだ、と力を抜き
「…あぁ」
リヴァイは唖然としながら返事をし
ナイフを静かに戻した
「私はハンジ・ゾエ。君はリヴァイだよね?そっちの子がイザベルで、あと…と、」
「はぁ…ファーランだ」
「そうそうファーラン!よろしく!」
自己紹介した女兵士ーハンジは
ファーランとイザベルの間に座り
ファーランの肩をバシバシと叩いた
「私は…」
ハンジと目があったリアが
自ら名乗ろうとすると
「リア…だよね?知ってるよ。有名人だもの」
「?」
ハンジの発言に4人の頭の上に?が浮かんだ
リアが有名人?
どういうことだ、とファーランが
口を開こうとした瞬間
「リヴァイは訓練兵団に行ってないんだよね?なのになんであんなに立体起動が上手なの?」
そんなことより、とハンジは相変わらず
興奮気味でリヴァイに質問する
そんなハンジを鬱陶しそうに睨み
心底嫌な顔をするリヴァイ
だがハンジは睨みなど物ともせず
笑顔で返事を待っている
「愛想よく」
思わずファーランが耳打ちすると
チッ…と舌打ちをした後
「…練習したんだ。何度もな」
とリヴァイは答えた