第5章 ♢調査兵団♢
「お前たちはまず乗馬の訓練だ」
自分たちの隊長であるフラゴンに言われ
リアとイザベルは馬舎に来ていた
馬は一頭支給されるらしくこれからの世話も
それぞれ自分達でしていくようだ
「まず馬選びね」
案内するわと女兵士に言われついて行く
ーヒヒーン
一頭の馬が高く鳴いたのが聞こえ
ドクンッと胸がなった
そんなハズはないと思いながら
案内してくれていた女兵士を通り過ぎ先へ進む
「待ちなさい!そっちにいる馬はあなたには手に負えないわ!」
後ろから女兵士が叫ぶが
気にせず声の主の所へ急ぎ足で向かう
「リア!?」
何が起きたか分からないイザベルは
とりあえずリアの後を追う
いつも冷静に行動するタイプのリアが
制止の声を無視し進んでいく
「どうしたんだよ!リア!」
やっと追いつき
一頭の馬の前で止まっていたリアを見て驚く
泣いていたのだ
「エリーゼ…」
そうこの世界に来る前まで
毎日のように聞いていた声
エリーゼがそこに居た
愛おしそうに鼻に触れると
フンッとその手に擦り寄るエリーゼ
「あなたこの馬を知っているの?」
後から来た女兵士が大人しくしている
その馬をみて驚く
彼女曰く、突然調査兵団の牧場に現れ大暴れし
止めようとした兵士たちを次々となぎ倒し
やっとの思いでここまで連れてこられてから
最低限の世話しかされてこなかったそうだ
「エリーゼ…ダメじゃないそんなことしちゃ」
手入れされず汚れまみれのエリーゼを見て
涙を拭いながら苦笑するリア
心配していたイザベルだったが
その顔を見て安心する
「リア!びっくりさせるなよ!」
まだ唖然としている女兵士を他所に
リアの馬は決まったな、次は俺だ!
と馬を見に行くイザベル
「エリーゼ…また後で来るからね」
リアは愛おしそうにエリーゼを撫で
イザベルの後を追った
「イザベル!さっきはごめんね!」
一頭の馬に挨拶しているイザベルを見ながら声をかける
イザベルはこの馬に決めたようだ
「あの子、前に話した私の愛馬だったの。まさかあの子もこの世界に来てたなんて」
「すげーな!リアを追って来たんだよきっと!」
自分のことのように喜ぶイザベルに
思わず笑みがこぼれた