第3章 ♢地下街♢
夕飯を食べ終え自室に戻り湯浴みをする
この世界では毎日お風呂に入る習慣がなく
そういった設備もここ地下街にはない為
お湯につかることはできない
それでもどうしても毎日身体を洗いたいリアは
お湯を沸かし少しずつだが身体にかけながら
タオルで拭いていた
「…ふぅ」
一通り身体を洗い終え服を着る
ーガチャ
リビングに戻り机を見ると
夕飯で使った食器などが綺麗に片付けられている
更に干してあった洗濯物も綺麗に畳まれ
また新たな洗濯物が干されている
恐らくリヴァイであろう
初めリヴァイは亭主関白な人なのだろうと
勝手に思っていたが意外や意外
潔癖症で食器洗いや洗濯、掃除まで
大体全て自分1人でやろうとする
下着などは流石に恥ずかしいので
自分で洗濯するがイザベルに貰った服や
自分の寝巻きのスウェットなどは
一緒に洗ってもらっている
等間隔に干されている洗濯物をぼーっと
眺めていると後ろでドアが開く音がした
「今から少し出てくる…何の香りだ?」
前にリアと居た時も同じ香りがしたと思い
白いシャツとチョッキに着替えたリヴァイが
リビングに置いてあった立体起動装置を
つけながら言った
「香り…?あぁコレのことかな?」
いつも付けてる香りなんだ
と言いリアは髪の毛を持ち上げる
ーフワッ
心地よい香りが漂う
「嗅いだことのない香りだ」
「これね、桜っていうお花の香りなんだ」
「…さくら?」
やはりこの世界に桜はないか
リヴァイの反応を見て肩を落とす
「この世界には無いかなぁとは思ってたんだよね」
「珍しい花なのか」
「うん…」
「…良い香りだ」
残念そうにするリアに近づき
髪を持ち上げ顔に近づける
「え!?」
リヴァイの急な行動に驚き
顔が赤くなるリアだったが
自分の好きな香りを気に入ってくれて
自分に触れてくれたことが何故か嬉しく大人しくしていた
暫くするとリヴァイは髪の毛を離し
仕事にいこうと立ち上がった
「…すぐ帰る」
立ち上がったリヴァイの服の裾を
思わず掴んでしまったリアに
気づいたリヴァイは
安心しろと優しく頭に手を置き
そのまま夜の地下街へ出かけていった
リヴァイの見せた優しい顔に
リアが顔を真っ赤にさせていたのは
誰も知らない