第10章 ♢副兵士長♢
エルヴィンの元へ行き書類を見せると
一つ返事で了承してくれた
私たちは余程信頼されているんだなと嬉しくなる
「明日、兵士達の所属を発表する」
明日からいよいよ
全く新しくなった調査兵団の訓練開始だ
ーコンコン
「入れ」
ドアをノックする音が聞こえ
エルヴィンが通すと入ってきたのは
「初めまして、リアさん、リヴァイさん、私はリヒトと申します」
リヒトと名乗る若い男の人だった
「彼は、今回から医療班の班長を務めて貰うことになってね。リアのことを話したら喜んで了承してくれたよ」
「そうだったんだね!リヒトさん、これからよろしくお願いします!」
医療班の前班長はこの間の壁外調査で命を落としたことを聞いて
次の班長が気になっていたが
こんな若い好青年とは…恐らくリアと同い年位だろう
「リアさんの活躍、耳にしています。医療班はあまり目立ちませんが…目を向けて頂きありがとうございます」
とても光栄です
とリヒトは落ち着いた口調でお礼を述べると
私のことはリヒトと、そして敬語も使わないでください
と言った
リアも勿論自分のことは呼び捨てで
敬語もなしでと言ったが
「あなたのことを私はとても尊敬しています」
なのでそれは遠慮させて頂きたいです
と困ったように笑ったのを見て
そんな…と思いながら承諾した
側で見ていたリヴァイは何か気に食わず
リヒトをひたすら睨み続けていたが
それに気づいたリヒトに
「リヴァイさん、医療班班長としてリアさんをお借りすることをお許しください」
と困ったようにお辞儀をされ
不機嫌そうに鼻を鳴らした
「まあまあリヴァイ、そうカッカするな。ではリアは今からリヒトと明日からの訓練の打ち合わせをして来なさい」
エルヴィンがそういうと
「ではリアさん、行きましょう」
リヒトは笑顔でリアの手を引き歩き出した
「え!あ、うん、じゃあまた後でね!」
急に手を掴まれ驚いたリアだったが
リヴァイとエルヴィンに声を掛けて
手を引かれるままついていった
「…おい、エルヴィン。何故止めた」
リアの手を引いたリヒトに
思わず殴りかかろうとしたリヴァイだったが
エルヴィンの制止により動きを止めた