【ONE PIECE】RULER OF OCEAN
第3章 斧手のモーガン
カラスの声がそこら中で喧しく鳴る中、ほんのりと赤く色付いた襖を開ける。
真っ赤な夕日に浸された、大部屋が、目の前に広がった。普段は規則正しく並んだ弟子で埋まって、張りのある掛け声が縁側まで聞こえてくる、板張りの稽古場だ。今は人がいないせいか、やけに広く、そして寂しく感じる。ただ一人、床の間の前で、先生がこちらに背中を向けて、正座していた。
先生は、くいなの師匠でもあり、親父でもある。あいつを失って一番辛いのは、きっとこの人だ。おれは、先生の元へ行くと、そっと、同じように座り込んだ。
「人間は...なんて脆いんだろうね...ゾロ...」
憂いを帯びた声に、なんて返せばいいか分からなかった。時間ばかりが、無為に過ぎていく。
考えに考えた末、一つの考えが頭に浮かんだ。
「先生っ‼あいつの刀おれにくれよ‼」
「.........ああ、いいとも」
両手の平の表に、一振りの刀を乗せられ、自然に握り締める。あいつの刀はひどく、重く感じた。
今更、涙が込み上げてきた。鞘の白さが滲んで、手が震える。おれは、刀を前に突き出して、叫んだ。
「おれ、あいつのぶんも強くなるから!!!
天国までおれの名前が届くように、世界一強い大剣豪になるからさ!!!!」