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【ONE PIECE】RULER OF OCEAN

第1章 未来の海兵





「どうか金棒だけは...‼いやだ死にたくない~~っ!!!」



 頭蓋骨の砕ける嫌な音が、響き渡った。血がデッキの上に点々と飛び散り、そこへクルーが倒れ込む。頭は、身が弾けたザクロのよう。半開きの口。目は、明後日の方向を向いている。



 視界が、小刻みに震える。



「コビー!」



 心臓が、縮み上がった。喉から吐き出てきそうな心臓を、胸の底に押し込みながら、ぼくは振り返った。言い知れぬ禍々しさを漂わせた金棒が、指輪でゴテゴテに飾られた手に、握られている。彼女は、今日もぼくを試すように、問いかけてくる。



「この海で一番美しいものは何だい?」



 すかさずぼくはこう答えるんだ。



「レディー・アルビダです!えへへへへ」



「そうさ!!だからアタシは汚いものが大嫌いなのさ!!
美しいアタシが乗る船も美しくなきゃねェ!!そうだろう?」



 首がもげそうな勢いで、何度も首を縦に振る。居丈高に見下す目付きに打ちのめされて、自然とぼくは固いデッキの上に座り込んで、下から彼女を見上げていた。厳重に重石を乗せて蓋をしていた筈の感情が、苦くなって込み上げてくるのを、すり潰す。



「お前にはどういう訳か人一倍海の知識があるから、生かしておいてやってるんだ」



「は...はい、ありがとうございます」



 連続して襲いかかってくる痛みが、芯に響く。ぼくは、アルビダ様に蹴られていた。大して意味もないのに、反射的に背中を丸めて、体を庇う。



「それ以外は能がないんだからとっととクツを磨きな!!」



「は...はいすぐに!」
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