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【HQ澤】不思議な桜

第2章 コンビ


そんな事を願っても今年には卒業してしまうのが三年生。
思い返せば迷惑しかかけていない。
その時、ふと

ー澤村君ー

宮田先輩の口から出てきた先輩の名前。
部長の口から部員以外の男子が出てきたのは初である。
(澤村先輩・・・。宮田ちゃんと一緒にいる事のある男の先輩・・・。)
そんな先輩居ただろうか。
(・・・・あれか?)
思いついたのはこの前外でさぼって宮田に窓から呼ばれた時、隣の窓からこちらを眺めていた先輩を思い出す。
(あの時、近くでバレーの練習してる子いたしな。)
そんな後輩達を見守る様にして覗いていたからきっと間違いないだろう。
(他の部活にもあぁいう先輩がいるんだな。そしたら男バレの子達も寂しくなっちゃうな・・・)
そして相変わらず宮田から逃げる日々が続き、珍しく体育館の横を通るとボールが床をたたく音が聞こえて名の足が止まる。
威勢の良いかけ声に靴のすれる音、あの澤村はどんな風に部活をしているのか見られるかもしれないと覗いてみれば
「ちゃんとボール見てけー!」
と澤村が声をあげているところ。
それを怒っていると勘違いした名は
(怖っ)
の一言だった。
「もう一本行くぞー!!」
続くコーチであろう人を見て
(あっちも怖っ。つーか、男バレ背高っ!あの先輩怖っ!)
と勝手につけたイメージは怖いの一言。
しかし体育館内には全員やる気満々の空気感が流れ
「良いぞ田中!」
と田中を誉めている澤村に、周りを見てくれている人がいる部は安心すると思い眺めていた。
するとこっそり覗いていたつもりが、ふと澤村と目が合った気がしてそそくさと逃げ帰る。
そして体育館から校舎に入った途端宮田に見つかり名も部活動へ向かっていった。

練習中。
体育館のドア近くでちらつく人影。
なにかと思えば
「こら苗ー!」
と校舎側では宮田の声。
やはり目が合ったと思った人影はあの劇部の問題児だ。
(新しい逃げ場にでもなったかな?)
それならウチのやる気にあてられて、あちらの部活にもせいを出してもらえたら良いのに
「澤村集中しろー」
「すみませんっ!」
そんな事を思って、彼女は何をそんなに逃げてるのか気になった。
きっと彼女にも東峰の時の様に何か理由があるのだろう。
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