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【HQ澤】不思議な桜

第2章 コンビ


「苗ー!」
(来た、来た。)
いつもの宮田先輩のお迎え。
部長になってから回数は減ったものの、気合いの入り方が異様になった。
「宮田先ー輩!」
遠くから向かってくる宮田に手を振れば、
「いいから来なさーい!」
と呼ばれ、ひょいひょいと付いていく。
別に練習が嫌いな訳ではない。
部員もやる気満々なメンバーだし、演じるのも好きだ。
ただ去年、一年生だと言うのに役をもらったおかげで私を嫌がる部員が出た。
自分が居なくなればその人達が気持ち良く部活動ができるといらぬことを考えて
初めて部活をサボった時、
「苗ー!サボってんじゃねーぞーー!」
と校内中を探してくれたのが宮田先輩。
以来、気持ちが落ち込み、サボろうとするとやってきては連れていかれ、そんな事をしている内に追いかけてくれるのが嬉しくて楽しくて日々の習慣となってしまった。
「そんなに怒ると血管切れちゃいますよ」
「あんたのせいでしょう!いいから行くよ」
「はーい」
と二人並んで部活へ向かう。
もちろん先輩が来ない日もあって、そんな日は
「遅れました。。。」
と結局私が部活に来ることも分かっている。


「全く、澤村君のとこの男バレもうちのとこも大変だわ」
遅れて行ったある日の部活。
部長がそんな事を言った。
ー澤村先輩ー
それが澤村先輩を知ったきっかけ。
「先輩にも仲の良い男子がいるんですね」
なんて返したら
「余計なお世話!」
そして二言目には
「『練習しろー!!』だもんなぁ。」
と、同級生の部員達との休憩時間。
「ちゃんと来ればいいだけの話なのに」
「宮田先輩、部長になって熱くなったしねぇ」
「宮田ちゃん、血管の次はハゲちゃうかも・・・」
そんな事をポツリと言う名に
「・・・・そうならない様に、あんたがちゃんと来てあげなって」
と同級生達が呆れて言う。
その後もガンガン練習し、役者側の部長ももちろん注意されたりもするが、それが自分達と対等にいて、それでもやる気満々な部長を見るとこちらも頑張ろうと思える。
大好きな部長。
これからも一緒に居られればいいのに。
そう素直に思う。
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