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【HQ澤】不思議な桜

第4章 それぞれの嫉妬


卒業
その言葉を意識してから部活に出るようになった。
宮田ちゃんも最近ではすっかり私を探しに来ることはなくなり、それでも部活までの時間まで来るはずのないお迎えを待つ。
「まだ行かないのか?」
すると最近やってくるのは澤村先輩。
(また来た。。。)
なんて思えば
「顔に出てる」
と笑ってその場に留まる先輩。
いつも居る場所を中庭側の廊下にある外のベンチと決めてしまうと、初めは校舎越しだった澤村先輩は隣に立つ様になり、今では隣に座ってくる様になった。

そんな名の隣では澤村が
「澤村君のおかげであの子、最近ちゃんと部活に来るんだよ」
と、ある昼休みにあの時みたいに窓辺から名を見つけて眺めていると、宮田にそう言われたのを思い返す。
「そりゃ良かった」
「あの子はやれば凄いから助かるよ。ありがとう」
と宮田は自分の知る名とは違う名を嬉しそうに話す。
そう言えばそうなのだ。
(名が懸命なところ見たことないな。)
と同時に
「文化祭、劇部で出るんだって?」
なんて言えば、誰から聞いたのだと思っている名の表情。
「宮田から聞いたよ。」
そして宮田が
『名も出るよ!主役じゃないけど良い役処!澤村君時間あったらぜひ!!』
と熱弁されたのだ。
「演劇が分かるかはわからんが、時間あったら見に行くよ」
なんて言えば、名はニヤリと笑って
「ぜひ来てください」
と自信満々で言う。
その表情は青城の及川を彷彿させるもので
(あんなに自信満々で言えるって凄いな)
と、澤村を残し先に部活に行ってしまった名を思いだす。
(木で寝るような奴があんな表情すんのかぁ)
と出会った時の桜の木を眺めながら、けれども考え直せば、影山の暗記力差も、西谷の冷静差も
(普段からはかけ離れてるな)
と笑えてしまう。
『名は凄いのよ』
と嬉しそうに話す宮田を思い出し、少し羨ましいと思ってしまうのは、気づかない様にしている気持ちのせいだろうなと体育館のドアを開け
(俺は俺!)
と気合いをいれて部活にのぞんだ。
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