第5章 いい夫婦の日 (銀時)
こいつは、こんな俺で本当にいいのだろうか。
「ねぇねぇ、藍子ちゃん」
「何ですか、銀時くん」
「俺のどこがよかったの?」
俺の問いに、藍子は一瞬目を丸くしてから笑い出した。
「急にどうしたの?」
「なんとなく」
「ふうん?」
こいつには全てお見通しなんじゃないかと、
たまに思う。
今も俺の考えてること、全て分かってるような気がする。
「んで、俺のどこがいいの?」
「んー、どこだろ?」
「んだそれ。俺の全てが好きってこと?」
「それはないよ」
残酷なことをさらっと言いやがる。
「そこは可愛らしく、
『銀ちゃんの全部が好き~』
とか言ってみろよ」
「無理無理。だって、嫌なとこもあるもん」
「例えば?」
「んー、お酒強くもないくせに飲みすぎて、
べろんべろんで帰ってくるところとか、
お金ないくせにパチンコ行っちゃうとことか、
糖尿病予備軍のくせに
パフェ食べに行ったりするとことか、
喧嘩っ早いとことか、
一人で無茶するとことか、」
「もういい、聞きたくない」
オイオイオイオイ、多過ぎだろ。
途中から聞いていられなくなって、思わず項垂れた。
「あれ、落ち込んじゃった?」
「そりゃそうだろ」
「でも、その倍くらい
好きなとこあるから大丈夫」
その一言に顔を上げると、
藍子は俺を見てにっこり笑っていた。