• テキストサイズ

【銀魂】 ねこの恋

第6章 桜吹雪の奥に見た背中(土方)



「土方さん、あの」
「あ?」

明らかにいつもより低い声。だが怖気づいてはいられない。後ろから沖田さんも見ている。やりきらないと。
土方さんの正面に腰を下ろし、じっと目を見つめる。所謂上目遣いというやつだ。こんなありきたりな戦法で上手くいくとは思えないけれど。

「お願いします。久しぶりに神楽ちゃんたちとお話がしたいので、皆でお花見しませんか?」

土方さんは手に持ったお酒を一息に飲み干し、はあ、と大きめの溜息をついた。ほらやっぱり効果ないじゃん、これ私が恥かいただけだ。沖田さんに文句言ってやる。そう思って立ち上がろうとした瞬間、腕をぐっと掴まれた。

「え?」
「藍子、お前それ俺以外にやるんじゃねェぞ」

真っ赤な顔を片手で覆いながら土方さんはそう言った。こんな顔見たことない。しかも名前で呼んでくれた。今までなんだかんだと理由つけて呼ばれなかったのに。

「あの、土方さん?」
「・・・・・・今回だけだからな」
「ってことは?」
「・・・行ってこい」

ありがとうございます!とお辞儀をして神楽ちゃんたちの元に走っていった。凄い効果だ、沖田さんの作戦。名前も呼んで貰えるっていう追加効果まであるなんて。これは沖田さんにお礼を言わないといけないな。
振り返って、彼を見るとこちらからも分かるくらいまだ顔が赤くて、そんな照れ屋な彼が堪らなく愛おしかった。


(桜吹雪の奥に見た背中)


「総悟、あいつに変なこと教えんじゃねェよ」
「土方さん、あいつ旦那にちょっかいかけられてやすぜ」
「だから嫌だったんだ」



/ 29ページ  
エモアイコン:泣けたエモアイコン:キュンとしたエモアイコン:エロかったエモアイコン:驚いたエモアイコン:なごんだエモアイコン:素敵!エモアイコン:面白い
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp