第10章 来派
加州「空気が…重い…」
蛍丸「…!…加州から聞いてはいたけど、想像以上だね」
緊張感が漂う。
あれから此処に来る迄に、こんのすけから詳しく説明を受けた。
此処の本丸を仕切っていた審神者は女性、そして…此処に居る刀剣男士達に殺されたらしい。
後任を送る事も検討され、何度か審神者が送られはしたが…皆、返り討ちに遭って大怪我または、死んだらしい。
主「うん…気楽に行こう、為せばなるって」
加州「気楽って…」
蛍丸「主らしいね」
怖く無いと言ったら嘘になるが、気後れしたって仕方無い。
ふと、視線を感じそちらへ目を向けた。
途端、風を感じた。
主「…っ」
?「蛍丸から、離れろぉぉぉぉぉぉおおお!!!!」
その人物は、いきなり斬り掛かって来た。
すると、素早く前に立ちはだかった蛍丸の大太刀と彼の短刀とが金属音を響かせぶつかる。
刀を隔てて、二人の視線が対峙した。
?「蛍丸退け!!お前、騙されてんだよ!」
蛍丸「え……国…俊?俺の主は、騙したりしないっ!」
キィィン、と響く金属音。
よく見れば、斬りかかって来た彼は赤い髪が特徴的なわんぱくそうなショタ。
主「か」
加州「か?」
愛染「か…?」
蛍丸「あ、これ前に聞いた」
主「可愛いぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」
蛍丸「やっぱり」
蛍丸と知り合いらしい国俊と呼ばれた男の子、ああ!国俊っていえば…来派の話を蛍丸に聞いた時に話していた子だ!
不思議そうに目を丸くする国俊の顔は、傷だらけで痛々しかった。