第67章 憤怒
身長の差もある筈の二振り、けれど私の目には同じくらい可愛い存在に映った。
小烏丸「ふむ、この父に鍛練などもう必要あるまいて…」
堀川「まあまあ、そう言わずに。僕自身、剣術に少し変な癖がついちゃってて…小烏丸さんにお手合わせ頂けるなら、凄く有り難いですよ!」
剣術に変な癖というのは、一体どんな癖なんだろうか…?
浮かんでくる疑問は飲み込んでおいた。
次の瞬間、小烏丸が口を開く。
小烏丸「ほう…ならばこの父の胸を貸してやるしかないな」
堀川「はい、是非!宜しくお願いしますね!」
口元に手の甲を添えては、ふふっと軽く笑う小烏丸。次いで嬉しそうに笑う堀川。
うん、この二人なら大丈夫だ。
主「えっと…今日の近侍なんだけども、実を言うと今日はお仕事が多いの。手伝って欲しいんだけど…良いよっていう人居るかな?」
控え目に言うと、三日月以外の非番の男士は皆、俯いて左右を気にしている様だった。
その様子を、三日月は不思議そうに見ていた。
え…ええ…マジですか?
そりゃあ仕事が多いのは私もイヤだけど…。
主「よし、じゃあこうしよう!今日の近侍はなし!」
良いよ、やってやろうじゃん!
僕だって仕事出来るっていうのを、何処かで見てるあの性悪狐(こんのすけ)に見せつけてやる!
長谷部「あ…主……」
主「じゃあそうだな…非番の子で手の空いてる子は、内番のお手伝いしてあげてね?」
そう笑みを向けて告げると、私は審神者部屋に向かった。