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氷華血鎖【鳴門】

第3章 零部・勧誘


「つぎ、どこいくの?」

『そうだなぁ…もう少し暖かい所がいいかなぁ…』

「「おひさまみえるところ!」」

『そうね、そうしよっか』



無邪気にはしゃぐ弟妹を窘めて必要最低限の物を巻物に封印する。その巻物を弟妹に一つずつ持たせ、どのくらいで理想の場所に辿り着くか分からないから弟妹におにぎりを食べさせる。
その間に自分の用意を急いでいると、ふと窓に張り付いた白い物が気になる。



『雪…じゃない?』



細かい紙。雪の水分を吸わない不思議な紙。興味本意で窓を開けてその紙らしきものを摘めば、やはり普通の…



『…!』



紙じゃなかった。チャクラを感じた。恐らく敵の術か何かだろうと咄嗟に判断して窓を閉めて弟妹を抱えて外に出る。



「「ねぇね?」」

『少し急ぐよ』

「「わかった!」」

『忍法・雪隠れの術』





※※※





「見付けた」



印を結んで集中してた小南が静かに目を開ける。



「でもバレたわね。気配もチャクラも一瞬にして掻き消されたわ」

「めんどくせぇ…振り出しか?」

「いいえ。向かった方角は辛うじて掴めたわ。西南ね」

「………行くぞ」



ゆらりと立ち上がった四つの影は一瞬にして狭い部屋から消える。





※※※





すやすやとアタシの膝を枕にして眠る小さい頭を撫でる。ぱちぱちと音を立てて燃える焚火を眺めていると小さな身体が時折身動ぎする。



『御免ね、暖かくて柔らかいお布団で寝かせてあげたいんだけど…』



生憎それは出来ない。国境はもうすぐそこまで見えているのだが、天気も悪くなってきたし、この国は日が落ちるのが早い。暗闇の猛吹雪の雪山をまだ幼い弟妹に進ませる訳にはいかない。アタシがこの子達を抱えて進めば早いけども札付きのアタシは何処で誰から狙われるか分からないから無駄に体力を使う訳にはいかない。



『御免ね…巻き込んで』



あの時のアタシの判断は間違っていたのだろうか。島を沈めたのは間違っていたのだろうか。弟妹を生かしたのは間違いだったのだろうか。アタシが生きてるのは間違いなのだろうか。うん、アタシが生きてるのは間違ってる。だけどアタシには………



-ざわっ-



『…!?』



何だろう。この感じ。空気がザワついてる。敵に居場所を突き止められたのだろうか。
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