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氷華血鎖【鳴門】

第3章 零部・勧誘


だとしたらとても優れた感知タイプが居るのだろう。



『今此処で戦闘になるのは良くない』



この洞窟が崩れたら大きな雪崩が起きる。雪崩が起きたらアタシ達は勿論だけど麓にある町までもが被害を被るし…何より弟妹の安眠を妨害させる訳にはいかない。



『ふぅ…』



羽織っていたコートを脱いで枕替わりになる様に丸めて弟妹の頭を置き自分の毛布をかける。



『何があってアンタ達はお姉ちゃんが守るよ』



凝縮された結界術を施して般若のお面を付けて外套のフードを深く被って足の向かう先は洞窟の出入口。





※※※





洞窟の最深部で確認出来る特殊なチャクラは三つ。一つはとてつもなく大きい。多分この大きいチャクラが例の子供だろう。だが残りの二つは?同じ系統のチャクラだが非常に小さく弱い。まるで幼児の様な…



「どうしたイタチ」

「………来る」

「「「!?」」」



フッと音も無く洞窟の入口に現れたのは小さな影。闇に紛れる様な漆黒の外套。深く被られたフードから覗くのは闇に浮き出る恐ろしい般若の仮面。



『あれ?違う………』

一同「?」



発せられた声は柔らかい。だけどその言葉の意味は分からない。



『でもあれ…?その外套は見た事あるな…』



うーん…と首を捻る小さな影にペインが一歩歩み寄る。



「我々は暁だ。お前の力を借りたい」

『暁…?あぁ、二年前の?』

一同「っ!?」



暁と言う言葉を聞いた瞬間に雰囲気がガラリと変わる。息をするのも忘れそうなくらいに刺さる殺気。滲み出るチャクラはこの近辺の天候を悪くする程。



「待って。貴女と戦う気は無いわ」

『………女性も居るのね』



フッ消える殺気。落ち着く天気。



『話合いで終わるなら、こっちも願ったり叶ったりだ』



肩の力を抜く様に息を吐く。無駄な殺生はしたくないのだろうか。だとすると何故S級犯罪者などになったのだろう。





※※※





『残念ですけどお力添えは出来ませんね…』

「理由を聞いてもいい?」

『だって貴方達犯罪者集団でしょ?ただでさえ札付きなのに更に凶悪な札付きになるのは嫌なので』



少し時間は経過し、既に暗闇に包まれた空。激しく吹雪いて来た天候、更に落ちる気温を考慮して洞窟の入口から少し奥に入ったところで焚火を炊く。
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