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氷華血鎖【鳴門】

第39章 一部・変化


どうやら兄弟との戦闘の後に療養の為、音信不通になってから、あの事件に巻き込まれて亡くなったと言う事になってるらしい。だから今は適当に芸者として変化して見世を回って情報収集してるとか。



『もうこの身とこの心は貴方だけのものだからね』

「!」

『芸を売るのでいっぱいいっぱいよ』



照れ臭そうに困った様に微笑むチヅルに愛しさが募って、その華奢な身体を引き寄せると背中に腕が回る。



「チヅル」

『はい』

「…チヅル」

『結界、張ってるから気にしなくていいよ』





※※※





『すー………んっ…』



事後、疲れて眠るチヅルの絹糸の様な髪の毛を梳いて指先を遊ばせていると時折身動ぐ。
肉付きが良くなった、と言うより筋肉量が多少増えたか。村長のミツが稽古を付けてもらっていると言ってたから、それが理由だろうか。しかし何故稽古を………ましてや双子にまで。



「チヅル…」



きっと何か視えているのかも知れない。
出来る事なら戦いに身を投じて欲しくないと思う。血に濡れた姿も顔色悪く床に伏せる姿も見ていて良いものでは無い。



『ん~…イタ、チさ…』

「起こしてしまったか?」

『ん、大丈夫』



知ってか知らずか…スリ、と仔猫の様に擦り寄ってくる。



「………」



-ツゥ…-



『ひゃっ…』

「腰周りと…胸部」

『え?』

「肉付きが良くなった箇所だ」

『それは…きっと…イタチさんのせい。貴方がアタシを立派な女にしてるの』

「!」



だったら逆も然りだな、と耳元で囁けば照れを紛らわせる様に首に細い腕が巻き付いてきて、またハジマリの合図。





※※※





『ほらマツ!詰めが甘い!』

「うぅ…」

『トシ!集中力が欠けてる!』

「ぐぬぬ…」

『ミツさん!無駄が多過ぎるっていつも言ってる!』

「姉御さーせんんん!!!」



翌日。
現在はアカデミーから帰宅した双子とミツさんの稽古の様子をイタチさんと木陰で見守る。
教え方はとても良いんですが何ともまぁ意外にスパルタ。それに対してミツさんは弱音を吐きながら一生懸命やっていて双子に至っては泣き言一つ零さない。大したものだ。



「双子は普通に優秀な下忍レベルですね」

「もっと術が使えれば中忍レベル、か」
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