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氷華血鎖【鳴門】

第39章 一部・変化


「「!?」」

「はい、姉様!今日はこのくらい?」

『そうね、有難うマツ』



よそってもらったお米に箸を伸ばそうとすると視線を感じて箸を止める。



『………何?』

「既に大盛り七杯目………確かに旺盛な食欲ですね」

「最近僕達に修行付けてくれて動いてるからお腹空くんじゃない?」

「でも消費カロリーと摂取カロリーの割合が…」

『何か言った?』

「な、なななな何でもないよ!姉様、成長期!」



成長期ねぇ…女子の成長期はそろそろ止まる頃だと思うんだけど。こんな生活続けてたら横にしか成長しないだろうし原因を突き止めて食事の量を減らさなくちゃ。





※※※





『ここ最近の体調は?』

「良好だ」

『薬の副作用とか』

「問題無い」



食事や入浴などを終え一段落して弟妹が寝付いた頃に自室でイタチさんに問診をしながらカルテに書き込んで診察をする。



『………』

「チヅル?」



ふと風の噂で耳にした事が気になって口を噤んでしまったらイタチさんが不思議そうにアタシの名前を呼ぶ。どうしよう、聞くべきか…でもただの噂だし。



「弟の事か?」

『あ…うん………木の葉周辺で情報収集してたら里抜けの噂を聞いて』

「そうか」



そうか、って。
もっと何か色々とあるでしょうに。まぁそんな寡黙な所がイタチさんらしいっちゃあらしいし、好きな部分の一つなんだけど。



『手伝える事あったら言ってね』

「いや…」

『ほら、アタシ医者だけじゃなくて諜報部員としての情報収集も得意だ、し…』

「それは駄目だ」

『!』



ギュッと肩を掴まれて思わずカルテを落とす。



「情報収集と言うのは遊郭に忍び込むのだろう」





※※※





『ふふっ』

「!」

『意外。イタチさんも妬いてくれたりするんだ?』

「…」



小さく笑われて図星を突かれ逃げる様に視線をさ迷わせていると肩を掴む手に小さな手が添えられる。



『別に普通に里の上層部に忍び込んで情報収集する事だって可能なんだけどね』

「………」

『ただ遊郭が一番楽で一番安全で一番迅速かつ沢山の情報を得られるだけ』

「しかし…」

『大丈夫、霧羽太夫の時みたいに誘き寄せる様な事はしてないし』



それに霧羽太夫は亡くなった事になってるしね、と続ける。
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