• テキストサイズ

氷華血鎖【鳴門】

第39章 一部・変化


「村に戻ってきて一番初めに見る顔がチヅじゃなくて申し訳ないとは思うんだけど、ここは一つ!チヅの弱点を教えてくれ」



何て頼み込んでみると案の定イタチは呆れた様に深い溜息を吐き鬼鮫のあんちゃんは笑いを堪える様に喉の奥で笑う。



「そう言うのは双子に聞いた方が良いのでは?」

「そんなの遥か昔から聞いてるよ」



なんたって双子にとっちゃチヅは最強姉ちゃんだからな。弱みすら見せた事が無いから弱点なんてものは無いと言い張った。



「弟妹には弱みは見せられなくても仲間には見せられるんじゃないかなーって思ってさ」

「残念ですが私はチヅルさんの弱点は存じませんね」

「イタチは?イタチならチヅの弱いトコの一つや二つ知って…るん、じゃ………」



イタチの目の感じが変わった、と思ったらそこで意識が途絶えた。



「やりすぎなのでは?恐らくそう言う意味では…」

「弱点は己の目で見極めるのが基本だ」

「まぁそうですけど…何も幻術にかけなくても」





※※※





『お帰りなさい!イタチさん、鬼鮫さん』

「「お帰りー!」」



と出迎えてくれる双子は相変わらず元気。チヅルも変わらず………否、少し…ほんのごく僅か。



「チヅルさん…少し肉付き良くなりました?」

『え!嘘!やっぱり!?』



"最近、食欲酷いんだよねー"と顔周りをペタペタと触る。



「もう少し肉付き良くても良いと思いますよ。ね、イタチさん」

「そうだな」



と返事をして手土産の果物大福をチヅルに渡せば目を輝かせて嬉しそうに"有難う"と笑う。



「「「………」」」

『え、ちょっと何?』

「大丈夫、姉様。私達何も見てないから」

「僕も何も見てないから」

「私も何も見てません」



自らの手で視界を覆いながら指の隙間で俺達を見る三人の額をチヅルは軽く小突いて、くるりと踵を返す。



『夕飯無しにするわよ』

「「やだー!御免なさいー!」」

「怒られてしまいましたね」

「当然だろう」





※※※





『で?今回の任務はどうだったの?』



食卓を囲みながらそう問えば"いつも通り"と言う返事が二人から帰って来て何となくと察していると茶碗にてんこ盛りの白米が置かれる。
/ 222ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp