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氷華血鎖【鳴門】

第38章 一部・残酷な未来


その言葉の真意が知りたくて鉛色の空を見上げるチヅの顔を穴が空きそうなくらいに見続けて居れば藤色の視線だけが此方を向く。



『良い人達よ、とっても』

「でもさっきの言葉は…」

『アタシ達にとっては、ね』

「それって…」



-パタパタ-



どう言う事だ、と聞こうとしたらタイミング悪く双子が戻って来たから口を噤む。



「今日はどんな修行するのー?」

『そうねぇ…』



立ち上がって庭に歩いて行くと適当なところで、くるりと踵を返して双子と俺達を交互に見る。



「「「………」」」

『アタシと皆で勝負よ』

「「「!?」」」

『武器も忍術の使用も有り。アタシに少しでも本気を出させたら皆の勝ち。三人が勝ったら各々の願い事を一つずつ聞いてあげる』



願い事を一つ。



『制限時半は半刻。範囲は西の森一帯。もしアタシを本気にさせる事が出来なかったら…各々に禁則事項を一つ設ける』



禁則事項。



「チヅが本気ってのは何処で判断すればいい?」

『アタシは貴金属の武器や術は一切使わない。これが判断材料よ』

「「「分かった」」」

『四半刻程、時間をあげるから三人で相談するといい。時間内に相談が終われば直ぐ仕掛けてもらって構わないから』



そう言うと一瞬でこの場から姿と気配が消える。



「姉上がこんな実践的な修行を付けてくれるなんて…」

「もしかしたら…何か見えてるのかも」



チヅが居た場所を見詰めるマツの藤色の瞳が不安そうに揺れる。



「見えてるって?」

「見えてるっゆーか感じてるってゆーか…姉様、凄く神秘的な部分があって…姉様の勘って絶対に外れないの。良い事も悪い事も」



絶対に外れない勘、か…。まぁ確かにチヅってたまに不思議なんだよな。口に出してない筈の思ってる事にたまに応えるってゆーか。





※※※





『ったく…何が大切な人を守る力よ。えげつないものしか見えないじゃない』



見えるのは死相と血ばかり。いつ、何処で、とかもっと詳しい事が見えたら確かに対処に回れるけど曖昧過ぎて大切な人を守る力にはならない。



『………』



詳細が分からないのはアタシの力がまだ未熟なのか。それとも、そもそもがこの程度なのか。或いは既に枯渇しているのか。
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