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氷華血鎖【鳴門】

第37章 一部・子守唄


「傷?」

「背中の…引っ掻き傷みたいな…」

「あぁ…これは…可愛い子猫に付けられた傷だ」

「かわっ!?子猫!?」



あぁ成程。そう言う事ですか。作戦通り一線を越えて頂いた様で何より。何せ焦れったかったですからねぇ…これで双子が楽しみにしているコウノトリが早く来る事を願っておきますか。



「あのイタチが子猫を飼ってるとは…しかも可愛いとか思える感情があるとは思わなかったぜ…」

「デイダラはまだまだ子供ですね」

「ん゙なっ!?」





※※※





『あら…皆も聴くの?』



お筝を持って弟妹の部屋に行けば既に布団の上でゴロゴロしてる弟妹と一緒になってゴロゴロしてるデイダラ君。部屋の外の縁側で傀儡の整備をしてるサソリさん。縁側の柱にもたれ掛かるイタチさんと室内には入らず縁側から襖に背を預けてる鬼鮫さんが居た。



『見物料ふんだくってやりたいけど、まぁ皆にはお世話になってるし今日はサービスよ。良く眠れるおまじない、かけてあげる』



お筝を置いて居住まいを正して指先に爪を付ける。



-ぽーん…-



『調律は大丈夫かな』



すう、と息を深く吸い込む。



((雰囲気が…))

(変わりましたね)

「………」





※※※





『あらやだ。本当に子守唄になっちゃった』



演奏が止まるとポツリとチヅルが呟いて(デイダラ含む)子供達に布団を掛け直すと筝を持って部屋を出る。



「俺が運ぼう」

『有難う…って鬼鮫さんとサソリさんも寝てるし。サソリさんって寝るんだ』



興味深そうに覗き込んだ後、隣の客室から毛布と火鉢を持って来て二人に毛布をかける。



『この時期、縁側なんかで寝るなんて凍死しそうだけど…』

「そのうち目が覚めて勝手に客室に戻る。いらぬ心配だ」

『それもそうね』



と先を歩くチヅルの後ろを筝を持ってついて行く。遊郭にあった筝より弦の数が多い…気がする。



『十七絃ってゆーの。弥生家の当主に受け継がれる代物だけど、まぁそんな珍しいモノでも無いかな』

「無闇に思考を読まないんじゃなかったのか?」

『ん~?そうなんだけど…たまには使わないとねぇ?』



小さく笑いながら部屋に入ると"そこに立て掛けといて"と背中で言ってから行燈に明かりを灯す。
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