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氷華血鎖【鳴門】

第36章 一部・求めていたモノ


ふと思い出すのは初めて兄弟に出会った時にシズルに言われた言葉。

"随分とお熱じゃねぇの"
"もしかして…抱いた?"

別に沢山の女を知っている訳では無いが女を知らない訳でも無い。チヅルは…チヅルの身体は男にとって麻薬そのもの。喘ぐ声も吸い付く肌も全てが男を籠絡する官能さを兼ね揃えている。だからシズルはあの様な言葉を放ち、またチヅルも恐れていたのだろう。自分が道具として扱われる事に。



「案ずるな」



そんな事は言わせないし思わせない。
守ってもらう様なヤワな女では無いのも知っているが…俺が役目を果たすまでの間は、その純粋な心を…



「俺が守る」





※※※





『…ん…』



暖かく溶ける様な体温に包まれながら目を醒ますと視界に映るのは穏やかに眠る愛しい貴方。



『ふふ、相変わらず美人な寝顔で』



頬にかかる髪の毛をそっと耳にかけて暫しその寝顔を眺めていると、ふと思い出してしまう…つい先程の事。



『………』



勢い良く頬に熱が集まるのを感じてイタチさんから視線を外して俯く。べ…べべべ、別に…か、快楽を知らない訳じゃ無いんだけど…あんなに気をやって意識が飛びそうになるのなんて初めてだし自分があんな乱れ方をするなんて思っても無かった。



『好きな人に抱かれるのがこんなにもイイモノだったなんて…』

「…ほう」

『!?』



頭上から聞こえる声に顔を上げれば漆黒の瞳と目が合う。



『なっ…いつから起きて…!』

「チヅルの目が覚めた時から」

『それって初めか、らっ!?』



背中に回るイタチさんの手が背筋を撫でる。



『あ、の…』

「お望みならばまだまだ愛そう」



こつん、と額と額がくっつく。



『~っ………いつか絶対、仕返しする』

「楽しみにしておく」





※※※





「これとかどう?」

「駄目。姉様っぽくない」



一夜明けて朝食を摂った後は旅館を出て街を回る。どうやら双子はチヅルにお土産を買って帰りたいらしいんだが…さっきから立ち寄る店は、とてもじゃないが子供が買える様な…寧ろ一般人もなかなか手が付けられない様な高級な店ばかり。
無論、オイラや旦那達でも手を出すのはちょっと躊躇うくらいの。



「あー…ちょっと二人共?」
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