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氷華血鎖【鳴門】

第35章 一部・旅行


寧ろ変な安心感の方が大きかった。



「ま…仕方無いか」



初めっからお似合い感あったしアイツ相手だとヘタレな俺じゃ敵わないわな、と空を見上げると雲一つ無い快晴。とても澄んだ空だった。



「………待てよ?」



これってもしかして俺が双子に吐いた嘘がそのうち現実に成りうるんじゃ…





※※※





「「うわー!すごーい!」」



広くて豪華な部屋にはしゃぐ双子を横目にふと考えるのは残ったチヅルとイタチの事。昨日の夕方話していたのはチヅルの幸せについてのどうこうで、いつの間にか働きっ放しのチヅルを休ませようって話になった。
確かに寝食の世話はしてもらってるから休ませるのは賛成なんだが、どうせなら皆で行けば良いと思うんだよな、うん。



「見てマツ!外に温泉がある!」

「客室に露天風呂!凄い!」



まぁ皆で行くのも目立つか。だけど何でイタチだけを残したんだ?サソリの旦那は兎も角、鬼鮫の旦那も何考えてるか分からねえ…って言っても組織のメンバー全員がそうか。



「もっと他のところ見て来てもいい?」

「あまり遠くに行ったら駄目ですよ」

「よし、行こうデイダラ!」

「ぁん?オイラもかよ!?」

「餓鬼同士ちょうど良いだろ」



確かにオイラは暁の中じゃ最年少だが餓鬼じゃねぇ…けどまぁ…此奴等と遊ぶの楽しいし、まぁいっか。





※※※





出掛けたい、と言ったチヅル。普通ならば本当にゆっくりとした時間を連想するのだろうが、そこは流石チヅルと言うべきかゆっくりとは無縁の場所に行き無縁の事をしていた。



『君の角、ちょうだいねー良い薬になるから』



普通の獣の数倍は大きい身体と獰猛さ。まるであの森を思い出させる場所に踏み入れると躊躇無く、角や爪、牙を採取する様子をただ呆然と立ち尽くして見ていた。



「ゆっくりしろと…言われなかったか…」

『そうなんだけどね?丁度、動物系の薬剤切らしてたし』



チヅルの見張りは正直、俺には難しい。口も上手いし何より最もな意見を述べるから止めようにも止められない。



『まぁイタチさんはアタシの見張り役っぽいし、これ以上は狩らないから』

「………」

『って事で今度はイタチさんの番』

「俺の番?」

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