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氷華血鎖【鳴門】

第34章 一部・双子の病


無論、戦闘時はそうであるが日頃から…愛する弟妹を守るのに常に命懸けだと言う事実。トシを治療するチヅルのチャクラの消費量はそこまで多くは無い。だがその繊細な治療は想像を超えた精神力の消費があるのだろう。



「理解出来ねぇな。世の理に反してまで救う意味が」



吐き捨てる様に言うサソリの言葉にチヅルは小さく笑った。



『医者はその人の命尽きるまで治療を諦めてはならない』

一同「?」

『師の教え。でもまぁそんなのは正直どうでもいい』

一同「え」

『人を救うのに…愛してる人達を救うのに理由なんて要らない。残された時間が分かっていても愛する人とはずっと一緒に居たいものよ』

「それもまた一つの考え…か」





※※※





『ふぅ…』



すっかり生気の戻ったトシの顔を見て安堵する様に肩の力を抜く姉様に駆け寄って手拭いで汗を拭こうとすると手拭いを取り上げられる。



「すっげぇな、うん。死にかけだったのに…これが組織のメンバーが重宝する医療忍術か…」

「見事なもんだ。まるで死人でも生き返らせそうだな」

『………それは流石に無理』



感心の言葉を言うデイダラとサソリおじ…サソリ兄様の言葉に苦く笑うとトシを抱えて立ち上がる。生気は戻ったけどまだ安心は出来ないから自室に連れてって付きっきりで看病するのだろう。



「姉様、私も…」

『マツは寝なさい。子供が起きていい時間じゃないわ』

「………はい」

『皆も騒々しくして御免なさい。ゆっくり休んで』



そう言って一足先に部屋を出る姉様の背中を見送って俯くと暖かい手が頭の上に乗せられる。



「気に病む事は無い。チヅルが診るなら心配は要らない」

「そうじゃ…無くて…」





※※※





「姉様…私達が何しても怒らないから…逆に飽きられてるんじゃないかって…」



不安そうに揺らぐマツの瞳から大粒の涙がポロポロと零れ落ちる。それを一生懸命袖口で拭うが今まで耐えてた分、留まる事を知らない様に溢れ出す。泣き方もチヅルと似てると思った。



「それは被害妄想ってやつだな、うん」

「え」

「デイダラ。貴方もう少し言い方を…」

「え…でもよぉ…」



他の言い方って難しい、と不服そうに考え込むと起爆粘土で作った小鳥をマツに渡す。
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