第34章 一部・双子の病
少しだけ顔色に生気が戻って来たトシを確認して更に繊細なチャクラを練ってトシの身体にチャクラが巡る様に少しずつ流し込む。サソリさんの言った通り弟妹が抱えてる不治の病はチャクラ欠乏症。チャクラその物が生まれつき非常に少なくて器すらも小さい。
チャクラを分け与えれば治ると言うものでも無くて器が小さい故に器より多い量のチャクラを与えてしまえばオーバーヒートを起こしてこれまた死に至る。
『これはただの医療術。アタシにリスクは無い』
一同「………」
人は本来、成長過程によって器も大きくなるけど、この病は器が大きくなる事は無い。つまりはずっと赤ん坊と同等のチャクラ量。それでも沢山学んで研究して身体に負荷がかからない様に自分の器を削る事で大きくはして来たけど、もうこれ以上は大きくならないのも数年前から分かってる。
勿論自分の器を削って弟妹の器を大きくすると言う事はアタシ自身の弱体化を意味するものではあるけども。元々アタシ自身もチャクラ量も器も多くも大きくも無いから正直、数年前に比べれば弱体化はしてる。
「姉様…御免なさい…」
『謝らなくていい。アンタ達の気持ちは分かってるから』
永く生きられないと知っていながら少しでも一人前になろうとしている事。悲しくなるくらいにアタシを想ってくれている事。全部全部分かっているからこそ…怒る事も出来ない。
※※※
「氷遁を使っただけだとおっしゃってましたが…氷遁を使っただけでそこまで危険になるのですか?」
鬼鮫の言葉に目線だけ此方に向け直ぐに治療をしているトシに視線を戻して口を開く。
『本来…血継限界はその術を使用する為に適した身体が構築される』
確かに。この写輪眼もうちは一族特有のもので写輪眼を使用する為にちゃんと適した身体が構築されている。現に一族以外の写輪眼の持主…カカシさんにとって写輪眼を使用するのは相当の負荷がかかっているハズだ。
『氷遁は雪一族のもので一応アタシ達は雪一族の血は入ってはいるけど生粋の雪一族では無いし血も大分薄まって来てるから完全に適した身体じゃない。だから軽い氷遁を使用するのは大技を使用するのと変わらない』
「え?じゃあチヅルも?」
『アタシはまだマシだけど他の術を使うよりはチャクラの消費は多い』
チヅルもまた命懸け。