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氷華血鎖【鳴門】

第33章 一部・来客


『あ…そうですか…』



まぁ傀儡とか繊細な物は整備は必要だろうけど…四、五年前の酷い勧誘以来の拝見だから肝を抜かれたと言うか…自分自身を人傀儡にしてるだけあって歳を取らないから若い。アタシよりも十四、五くらい歳上の筈だけどアタシの方が容姿的には歳を取ってる様に感じる。



「薬の調合か…珍しく随分と苦戦してる様だな」

『あー…まあ…』



何か聞かれた時にどうはぐらかそうか思考を巡らせていたら、そんな事も聞かれずに袖口から如何にもな紫の液体が入った小瓶を取り出して机の上に置く。



「新種の毒を発見して更に手を加えて合成してみた」

『解毒薬を調合しろと?』

「得意分野だろ」

『それはサソリさんもでしょ』

「俺は傀儡の整備で忙しい」



アタシだって忙しいってのに。





※※※





『大方、遅効性の毒で効力は一週間で死。サソリさんが手を加えてるから効力は五日に短縮。あまり使い物にならない気はするけど、この毒の解毒薬をそう簡単に作れる人は居ないから、それを差しい引いてなら使える…けどあまりオススメはしないかな』



成分表を見ながらつらつらと言葉を繋げるチヅはものの四半刻で解毒薬を調合した。本当に相変わらず嫌な小娘だと思う。



『もしこの毒を使うなら、もう少し手を加えて三日くらいにした方が効果的かしら。三日程なら更に解毒は難しくなる。アタシとかスペシャリストくらいしか調合出来ないくらいには』



大した自信だ。まぁそれに見合う頭脳と実力は持っては居るが。そんな会話をしながら庭に向かって歩いていると餓鬼共と遊ぶデイダラが目に入り、その様子を傍観しているイタチと鬼鮫が居た。
解毒薬の調合をしてもらう為に気まぐれで立ち寄ったがイタチと鬼鮫が居たのは正直驚いた…し意外に馴染んでいるのは更に意外だった。



「あ!チヅルー!会いたかっ…」



-サッ-



「だぁっ!?」



チヅに飛び付こうとしたデイダラの首根っこを引っ張って制したのは鬼鮫でチヅを引き寄せて躱そうとしたのはイタチ。当の本人であるチヅは目を丸くして瞬きを繰り返す。



「おい鬼鮫の旦那!離せって!」

「いけませんよデイダラ。無闇に女性に抱き着こうとするのは」

「はぁ?じゃあイタチのアレは良いのかよ」
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