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氷華血鎖【鳴門】

第33章 一部・来客


イタチさんとチヅルさんが村に戻って来て、そろそろ二週間程は経過したと思われる。お二人の雰囲気がもっといい感じの近しいモノに変化したのは分かりましたが…双子や私が居るからか距離感は殆ど変わらない。
私のただの思い過ごし…否、それは無い。お子様達には難しいでしょうが間違い無くお二人は相思相愛。夜くらいは一緒に寝ても良いのでは無いかと思うのですがチヅルさんは自室、イタチさんは私と一緒に客室で休まれる。



「鬼鮫おじちゃんどうしたの?」

「え?」

「何かすっごく難しい顔してる」

「そうですねぇ…」



私達の目を気にしてるのか…それともただ単にお二人して奥手なのか。どちらにせよ双子が楽しみにしてるコウノトリの為にはお二人に進展してもらわなくてはならない…と思うのも私も想像以上にこの双子が可愛いのだと思う。



「少し作戦を練っているところです」

「「何の作戦?」」

「それはですね…」



声を潜めて手招きすると双子が耳を寄せる。





※※※





-きゃっきゃ-



庭から聞こえて来る弟妹の楽しそうな声をBGMにしながら薬剤の調合の部屋にしている離れで薬の調合に明け暮れる。弟妹は学校から帰って来たら真っ先にイタチさんと鬼鮫さんに飛び付いて修行を強請るのは定番化している…けど今日はやけに楽しそうだ。



-ぼふん-



『駄目だな…もう少し改良が要るか』



何か別の気配も感じるけど今はそれどころではないしイタチさんの為の薬の調合が最優先。
分かってはいるけど薬だけの延命治療は楽では無い。寧ろ治す薬を作る方が遥かに楽だ。病気の種類も弟妹とイタチさんとでは違うし色々と考慮をすると更に難関になる。



-コンコン-



『…どーぞ』



なかなか上手く行かない調合に多少の苛立ちを覚えながらの返事は少し声のトーンが下がってしまう。閉め切られた部屋の悪い空気を換気する様に開けられた扉から新鮮な空気が入って来る。



「随分と機嫌が悪そうじゃねぇか」

『………サソリさん…!』



思わぬ来客に椅子から立ち上がる。ココ最近どうやって情報を貰おうかどうしようか思案に入ってた人物だし何より吃驚したのはいつものヒルコの姿では無くて中に隠れてる本体の姿の方だった。



『ヒルコはどうしたの?』

「整備中だ」
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