第32章 一部・封印
「大蛇丸!カブト!」
帰って来てたのか。此奴等も長らく綱手の捜索でアジトを空けていたが…様子からして接触は出来たのだろう。腕はまだ治ってないが。
「こちらは綱手様と交渉中です。数日後に答えを伺う手筈になってます」
「そうか…」
「随分と酷いやられ様ね…貴方達もチヅルちゃんと接触したのかしら?」
正直どれだけ対策を講じ様が俺達では歯が立たない。レベルが違い過ぎる。だが…もうチヅル様を狙う必要は無い。チヅル様にはあの男が付いてる。俺の知らない間にチヅル様は一人の男を愛する立派な女性になられているし、あの男…イタチもまたチヅル様を想っているのは分かった。任せて問題は無い。
「まぁこの通り駄目だったけど」
「でしょうね。あの子自身が強い上に暁に守られてるんだから。まぁ弱点があるとすれば双子の弟妹だけでしょう」
「!」
こいつ…知ってたのか。知ってたのに俺達に情報を与えなかったのか。
「悪く思わないで。暁に居た頃はあの子達に手を出さないのが規則。規則を破ったら私が危ないし…組織を抜けた後は色々忙しくてそれどころじゃ無かったのよ」
「………」
「それよりも何が封印されたかが問題です。見たところシズルに異常はありません」
「私と同じ様に術が封印された可能性があるわね」
術の封印。血の鎖から察するにチヅル様の血遁だろうけど、いつの間に…そしてこの時間差。本来、血遁は血の結晶化させるか爆ぜさせる典型的な攻撃術。こんな使い方があるとは…流石チヅル様と言うところか。
※※※
チヅルの滴る血が鎖の形状を模し結晶の欠片を縛ると溶ける様に"封"という血文字が浮かび上がる。そして巻物を巻き閉じると未だに流れる血を鎖に変形させて巻物を縛る。
-しゅうぅ…-
(傷が一瞬で…回復術…否、再生術ですかね)
傷口を塞ぐと力無く机に突っ伏して深い溜息を吐く。
「大丈夫ですか?」
『少し休めばなんとか…』
そしてまた増血剤を取り出して口の中に放り込むと白湯で勢い良く流し込んで何とも言えない表情をすると机に伏せる。
「チヅルさんの術は初めてお目にかかりましたが…成程。これが血遁ですか」
珍しい術ですね、と巻物を見る。