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氷華血鎖【鳴門】

第29章 一部・愛


それはシズルも同じ様で震える腕で瓦礫を押し退けようとするが力の入らない腕じゃ力自慢のシズルですらも無理。



-ズズズ…-



『っ…はぁっ…』



あの再生術も何らかのリスクがある様で刺青が消えるとチヅル様が苦しそうに肩を上下させながらイタチを寝かせ鼓動を確認する様に胸に耳を近付ける。



『まだ危ない。血を足さなきゃ』



そう言うと懐から刃渡り20センチ程度の腰刀を出して意を決する様に構える。何を………まさか!



「駄目ですチヅル様!それだけはお止め下さい!」





※※※





兄の方がチヅルに向かって必死に叫ぶ。



『アタシの全てをあげる』

「………チヅル?」

『ねぇイタチさん。貴方はアタシの事信じてくれる?』



今にも泣きそうな顔だった。腰刀を構える手は小刻みに震えていた。今からチヅルが何をしようとしてるのか検討は付かない。だが…



「初めから…信じている」



そう伝えると安心した様に微笑み腰刀を力任せに自分の手に突き刺して引き抜く。



-ぶしゃあっ-



「「「!!!」」」



傷口から止めどなく溢れる血に唇を寄せて口内に含むと傷口が修復して行く。そして血で濡れた手で俺の頬に触れるとゆっくりと顔を近付ける。



「それだけは止めろチヅルサマ!!!」

「駄目ですチヅル様!」



柔らかい唇が触れた。そしてゆっくりと流し込まれる少し甘みのある鉄の味。確か血遁使いの血は体内に取り込んでは駄目だと聞いている………が。



-ごく…-



「バッ…!?チヅルサマ、テメェ!自分の血を接吻で飲ませるのがどうゆう事か分かってんのか!?」

「そんな男の為に一生を捧げるおつもりですか!?」



兄弟の言葉に耳を貸さず俺が血を飲みきったのを確認すると唇を離して困った様に微笑む。



『男なんて大嫌いよ。女を道具としか思わないし女を舐め腐ってる』

「「「………」」」

『でも仕方無いじゃない。イタチさんを失いたくないんだもの』



俺の頬に触れたまま、空いた手で印を結ぶ。



「「やめろチヅル!!」」

『秘術・血契』



ドクン、と鼓動が激しく波打った。その瞬間、身体中の血液が巡る様に冷えた身体に熱が戻る。
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