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氷華血鎖【鳴門】

第28章 一部・対策


『………っ』



一週間…随分と強力な毒を調合したものだ。ユキト兄様も医学に精通してたのか………くそ…油断した。意識も朦朧として来た。



「チヅル様、貴女に傷は付けたくないんです。どうか大人しくして下さい」

『さわ………ん、な』



蹲るアタシの身体をユキト兄様が抱える。
やめて。触らないで。アタシに触れていいのは…





※※※





傷の治りは早い訳では無いが確実に治癒してきている。完全に回復する前にトドメを刺したいが…筋金入りの体力馬鹿なのかこれだけの傷を負ってながら身体が良く動く。体術じゃ埒が明かない。月読にかけようとも試みたが当人達の言ってたとおり目を合わせても幻術にかからない…となれば。



-たんっ-



「ぁん?諦めたのか?」

「いや」



-チャキッ-

-ヒュッ-



「どーこ狙ってやが…」



-ヒュッ-

-キィン-



「んだとぉ!?」



手裏剣術で応戦する。だが大した反射神経。それも致命傷は避けられるが、その隙を逃さず詰め寄る。



「ちっ…(躊躇い無く頸動脈狙って来やがる)」



-ザシュッ-

-ビチャッ-



………浅いか。
苦無と外套に返り血が付着する。



「っ痛ぅ…色男の癖にやる事えげつねぇな」



ボタボタと血が地面に染みを作る。



「だが…浴びたな?俺の血を」

「!」

「それだけじゃない。無闇に攻撃を避けてた訳じゃないんだぜ」



結界内の至る所にある血痕は此奴のもの。つまり。



-バッ-



「今更気付いても遅いぜ!血遁・爆連撃」





※※※





朦朧とする意識の中で橙の瞳の奥の記憶と思想を読んだ。



"各国に…指名手配…?何で…どうしてチヅル様が…"

"当然よ。島一つ沈めちゃったんだもの。つまりは殺した人数も数千人…立派な犯罪者よ"

"………"

"貴方達兄弟は運が良いわね。その血のお陰で生き延び…偶然だけど私が見付ける事が出来たんだから"



どの様な経緯かは知らないけど生きながらも海底に沈んだ二人を見付けたのは大蛇丸。大蛇丸の雰囲気からして二人の意識が回復したのは二年くらい後…つまり三年くらい前だと推測する。
その後、二人は鍛錬を積みながらアタシを探してる様だけど…その頃だとアタシは勧誘で大蛇丸と接触し終えてる。
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