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氷華血鎖【鳴門】

第28章 一部・対策


かなりの深手を負ってるみたいでフラフラしていた。



「どうなってる?」

「へへ…俺達の勝ちだよ」

「!」



身体の至る所に刺さっている赤色の棘が溶け出し少しずつ傷を修復していく。兄の方は自分で治療していたが弟の方は…勝手に修復されている。何が違う。



「この中では俺達は無敵なんだよ。テメェの幻術も効かないしチヅルサマの血遁は治癒材料になる」

「完全に俺達対策だな」

「元々はチヅルサマ対策さ。それにこの数ヶ月でテメェの対策も講じたんだ」



この壁を壊すのは無理。術者を倒すしか無い。恐らく兄と弟の場所が入れ替わった…と言う事はチヅルが兄の方を倒さねばこの結界は解けない。つまり俺が弟の方を倒さねばと言う事か。幻術が使えないのであれば別の方法で倒すまで。





※※※





シズルが消えたかと思えば目の前にはユキト兄様。先程の術は双方の居場所を入れ替える術か。だとしたらどの道シズルは終わり。致命傷では無いにしろ、アレだけのダメージを負ってるならイタチさんに取っては赤子を捻るのと同然。



『無意味な作戦ね』

「無意味では無いですよ」



-たんっ-



『!』



素早く詰め寄って来るのを同じタイミング同じ距離で離れるとユキト兄様は困った様に肩を竦めて手に持っていた小瓶の中にある液体を口に含んで印を結ぶ。



「水遁・水乱波」

『………?』



初歩的な術。しかもアタシに当てるのではなく空に打ち上げて術が弾けて雪に混ざって少量の雨みたく降ってくる。



『何がした………っ!?』



ドクン、と心臓が激しく波打つ。これは…毒。しかも普通の毒じゃない。神経系に作用する毒で命には全く別状が無いけど…上手くチャクラが練れない。そうか。あの小瓶の液体はその毒で水遁を空に打ち上げたのも確実にアタシに浴びせる為。しかも皮膚から吸収されるタイプ。



「通常は意識も混濁するんですけど…流石ですチヅル様」



これ系の毒の解毒剤も直ぐに作れるけど…チャクラが練れない以上巻物に封印してる薬草も取り出す事が出来ないしチャクラが練れたとしても解毒剤を作るのにはそれなりに時間がかかる。此奴等がそんな時間をくれるハズが無い。



「最低でも一週間はマトモに身体を動かす事は出来ないハズです」

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