第28章 一部・対策
そしてその後、兄弟が意識を取り戻した後にアタシは暁の協力者となってる。だから大蛇丸はアタシの居場所を知ってたのに二人に伝えてない事になる。伝えていたのであればもっと早く二人と接触してるハズだから。何故もっと早くに伝えなかったんだろう。
でもまぁ二人が湯の国に来たのも大蛇丸が関与してるなら納得は行く。
"兄者…厳しい…何でこんなに鍛錬するんだよ"
"俺達はチヅル様をお守りしなくてはならない"
"はぁ?それは親父の言い付けだろ?しかもそれは商品としてだし今じゃ島も家族も居ないんだぞ!?"
"チヅル様は弥生家の因果を断ち切った…だが弥生家は滅んではならない"
滅んではならない…?どう言う事。娼婦として祭り上げただ雪一族の血が混ざっただけじゃない。鏡魔眼だってわざわざ酷な条件をクリアしなきゃ開眼しない辺鄙な能力じゃない。
"未来を見る巫女の先見の目。この世の平和と安定の為には必要なんだ。それを覚醒させるのは………俺かシズルでなくてはならない。他の男に覚醒させられたら…悪用されかねない"
未来を………見る?そんな馬鹿な事が………いや、でもここ数年の間に全く覚えの無い映像が頭に流れ込んで来た事は数回ある。変な予感とか言うのも稀にある。でも覚醒条件が男って…何。
※※※
しゅう…と激しい爆発が治まる。両足、右腕にダメージを受けたが致命傷ではない。
「………」
「………」
「やっぱ俺、忍術も得意じゃねぇ…決死の血遁なのにダメージ殆ど与えられてねぇ…」
まるでやる気が無くなったかの様に頭を抱えながら膝を地に付く。
-ぼふん-
「「!」」
「シズル、だらしないよ」
「………チヅル!」
煙に撒かれて現れたのは入れ替わりで消えた兄の方で辛うじてギリギリのところで意識を保ってるチヅルを抱えていた。
「意識まだあるじゃねぇの」
「そう簡単には失ってくれないよ」
そんな会話を繰り広げるのも目に入らずチヅルをどうすべきか思案していたら僅かにチヅルの唇が動く。
ー殺れ、と。
だから俺はチヅルを信じて術を発動する。
「………天照」
→to be continued.