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氷華血鎖【鳴門】

第28章 一部・対策


自分で自分の腹を斬った…だと。何をするつもりだ。チヅルの話だと血遁使用者の血を付着、或いは体内に取り込まない限り此方にダメージは受けないと聞いてるが。



「血遁・血晶結界」

「………」



俺達を中心に半径500メートルを四方八方、薄い赤色の壁が囲む。その結界内だけ雪が溶けて気温も通常通りに戻る。試しに壁に手裏剣を投げてみるが傷一つ付けられず跳ね返る。



「無駄だよ。この結界を壊せるのは俺かシズルだけだ」



だとしても隔離したところで目を合わせれば月読にかけられるし月読をかけなくとも、あのダメージじゃたかが知れてる。



-ヴゥン…-



「…医療忍術が使えるのか」

「まぁね…知り合いに医療忍者が居るから少しだけ手解きを受けている」



大蛇丸が関与してるとチヅルが言っていたから、そこから想定するにカブトか。しかし…厄介な奴だ。実力は申し分無い上に医療忍術…チヅルと戦ってるみたいだな…チヅルと戦った事は無いが。



「それと忠告しとくけど…この結界の中じゃ君の幻術は効かないよ。その為にこの数ヶ月で開発した術だから」

「まるで俺と戦う事が分かってた様な口振りだな」

「分かってた訳じゃない。ただ…君が俺達の邪魔に成りうる存在だとは薄々感じていた」



そう言うと服の袖口から小瓶を取り出して何かを待つ様に断末魔が消えた方を見る。





※※※





「ぐ…」



カランコロンとぽっくりが地を歩く音が響く。全身を貫く血の結晶で出来た棘を乱暴に引き抜きながら力の入らない足で立ち上がって前を見据えると変わらず悠然と立つチヅルサマ。



『致命傷は避けたか』



ペロリ、と赤い舌が手の甲の傷を舐めると傷が癒えて行く。



「…!」



俺の剣術で与えたダメージが…あの程度。付着した血の量的に大したダメージじゃ無いのは分かっていたが…かすり傷にもならないあの程度の傷。



『さてと…じゃあそろそろ本当にサヨナラしよう』

「いや…ここからが本番だぜ」



傷の痛みで震える腕を胸元に持って来て印を結ぶ。



『させない…!』

「兄者ぁぁあ!!!」



-ぼふん-





※※※





叫び声と共に素早く結ばれた印。
煙に撒かれて敵の姿が消えたと思えば弟の方が居た。
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