第28章 一部・対策
しんしんと空から舞落ちて来る雪によって、ほんのりと雪化粧される街並みは風情がある。この場が戦闘で無ければ風情を楽しむのも一興だと思う。
「ったく…シズルは女性相手でも乱暴だな」
「お前が言えた台詞か」
「………!」
またもやピクリ、と何処かの神経が痙攣する。この男はさっきから苛立たしい。まるで全てを見透かしてる様な言葉と目付き。この男に俺達の何が…チヅル様の何が分かるって言うんだ。
「知ったふうな口を…君に何が分かる」
「お前の事など知らん。興味も無い」
この餓鬼…スカしやがって。こんな奴がチヅル様のお傍に居るってだけで腸が煮えくり返る。
「お喋りはここまでにしよう」
-ひゅひゅひゅひゅしゅっ-
「「水遁・水牙弾」」
※※※
何処に…消えた。普通なら今ので腕の一本くらいは斬り落とせてたハズ。斬り落とせてないとしても…この刀に付着してるのは血。手傷は負わせたハズ何だが姿が見当たらない。大粒の牡丹雪のせいで視界も悪いし足場も悪い。戦いが長引けば状況は更に悪化する。
-しゃん…-
「!」
『今のはなかなか』
「そこか………!?」
鈴の音と凛とした声がする方に斬り掛かろうとすれば身体が動かない。否、正確には足。感覚も無い事に気が付いて足を見ると凍っていた。
『血遁』
「………くそっ」
この動けない状態じゃモロに血遁を喰らってしまう。このたかが一滴の血でも破壊力は半端ねぇから無事じゃ済まない。
『血縛呪』
刀に付着した一滴の血から数本の針の様なものが俺に目掛けて伸びてくる。くそっ何だこれ。兄者も俺も結晶化か爆ぜさせる事しか出来ねぇぞおい。
「があぁぁぁあっ!?」
※※※
「「!!!」」
離れた所から聞こえて来た断末魔に顔を上げる。チヅルが殺ったか。だとしたら此方も早くカタを付ける。
-すぅ…-
「………!(瞳の模様が変わった…コレはマズい)」
「!」
月読を発動しようとしたら目を瞑って距離を取られる。写輪眼との戦いを心得ているか。前回の時の弟の方のように上手くは行きそうにない…が目を閉じるのであれば大した戦闘は出来ぬハズ。
「火遁…」
-ザシュッ-
「!?」