• テキストサイズ

氷華血鎖【鳴門】

第27章 一部・正体


この二人を相手にしてそんなに上手く行くかどうか。湯の国の時と今この場の戦闘を経て………ユキト兄様は頭脳派で忍術と剣術…アタシ程度の、だけどシズルにかけた幻術も解いてくれちゃったから幻術も少々。シズルは肉体派で剣術、体術、力自慢ってところか。二人を足せば最強じゃないの。面倒だ。



「そんな流暢な事は言ってられないぜ兄者!多少手荒な事をしてでもアジトに連れて帰る!」



アジトに…連れて帰る?
戦いたくないだの話合いだのアジトに連れて帰るだの…この二人の目的はアタシを殺す事じゃないって事か。



「今回は護衛も居ないみたいだし前回の様には行かないぜチヅルサマよぉ!!!」

『舐めんな!』



正面から突っ込んでくるシズルに向かってお筝を投げ付けて屋根に飛び移ると氷の壁ごと殴り割る。大きな図体に比例した大した怪力だ。微弱なチャクラしか込めてなかったと言えど一応アタシの絶対防御術。それを粉砕するなんて。



「兄者!」

『!』

「すみませんチヅル様。少し眠って貰います」



背後から迫るユキト兄様の攻撃を避けようとしたら身体が動かない。破壊された建物から飛び出た杭に外掛が引っ掛かっていた。
万事休す、か。





※※※





睡眠薬の入った注射器をチヅル様に刺そうとしたら一瞬で姿が消えた。ひらり、と杭に引っ掛かった外掛の切れ端が夜風に飛ばされる。どう言う事だ…?チヅル様と俺の距離は数センチしか無かったハズ。下から呆然と此方を眺めてるシズルと目を合わせれば分からない、と言いたげに首を横に振る。



-スタッ-



「「…!」」



音がした方に視線を彷徨わせると向かいの屋根に人が降り立つ。きょとん、と目を瞬かせるチヅル様を横に抱えた真紅の双眼の持主。



「うちは………イタチ…!」

「変に動くなよシズル」

「わ…わーってるっつーの!」



やはり護衛は付いていたか。しかし何処に潜んでいた?この街には十日ちょい滞在しているが、うちはイタチの様な手練の気配は全く無かった。感知タイプって訳じゃないけど、そこそこの感知能力はあるハズなんだが…全く気付かなかった。



『イタチ、さん…』

「その格好では動けないだろう。手を抜き過ぎだ」

『あ、りが、と…遊んでたつもりは無いけど…そうね真剣にやる』
/ 222ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp