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氷華血鎖【鳴門】

第27章 一部・正体


砂埃舞う瓦礫の山からうっすらと影が見える。



-パキパキ…-



「「…氷遁…!」」



身震いする程の恐ろしい冷気。
砂埃が静まれば氷の壁が一角を完全に防御し、その中には一人の太夫が悠然と立っていた。真紅の唇が薄く弧を描き藤と桃のオッドアイが感情の読み取れない目付きで俺達を見る。



-すっ…-



「「!」」



桃色の瞳の方に手を添えると眼球を撫でる様にズルリと何かを外す。そしてもう一度、霧羽太夫の目を見ると宝石の様な藤色の双眼。



「………やはり…チヅル様…」

『どうやら二人が生きていたのには…大蛇丸が関係してるみたいね』

「「…!」」

『だとすると…余計に生かしちゃおけない』



ガンッと筝の龍頭を踏み付けるとその反動で筝が立ち上がり筝を掴んで琴爪で弦を全て切って自分の手に弦を巻き付ける。



「気を付けろ兄者!あの弦、普通の弦じゃない!」

「分かってる!」





※※※





理想としてはシズルを幻術にかけて記憶を読み取ってから始末して、その後にユキト兄様を始末したかった。二人を相手にするのは流石に骨が折れるし極力こんな場所で戦闘はしたく無かったから一人ずつ静かに確実に…それが理想だったんだけど。
ユキト兄様が遊郭が好きじゃないのは観察してて分かってたからシズル一人で見世に来た時は転機だと思ったんだけど…こうも早く対処してくるとは…流石ユキト兄様ってところか。多分結構前から或いは初めからアタシを疑っていたんだろう。



-ヒュッ-

-ギチッ…-



『ちっ…』



変わり身で躱された弦を引っ張って変わり身に使われた木を綺麗に切り刻む。



「うっわ…切れ味抜群………ん?」



-しゅうぅぅぅう…-



「毒か」

「この毒…一瞬でお陀仏だぞ兄者」

「チヅル様」

『………』

「どうか手を引いては貰えませんか?我々は貴女様と戦いたい訳じゃない。どうか話合いの場を…」



話合い…だと?今更何を話すってんだ。アタシはこの兄弟と話なんかしたくないし顔だって見たくは無い。この二人を何で大蛇丸が助けたのかは…大体想像が付くけど大蛇丸が関与してるなら暁の為にも情報は引き出さなきゃならない。どちらかはサクッと始末してどちらかは拷問にでもかければいい。
しかし………
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