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氷華血鎖【鳴門】

第4章 零部・氷と血


猛吹雪だった天候が霰に変わる。



「ぐっ…!?何だ!?身体が動かねぇ!!」

「慌てるな!間違いない、あの般若の仮面を被った奴が氷の女王だ!」

(氷の…女王…?)

「多少傷物にしても構わん!奴を狙え!!」



-わあぁぁあ-



上等。全員纏めて…



「「うわぁぁあん!!ねぇねどこぉぉ!!」」

一同「!?」

『マツ!トシ!何で…どうして…』

「今だっ!」

『しまっ…』



一瞬の油断が命取り。昔、師匠が言ってた言葉を思い出して、それを今初めて実感した。ザクッと身体の数箇所にクナイが刺さる感触。焼けるような痛み。



『げほっ…』

「「ねぇね!!!」」

「うるせぇ餓鬼共だ。さっさと始末しろ!!!」

『やめて!!!』

「やれ!!!」



三方から起爆札の付いたクナイが弟妹に向かって行くのがスローモーションに見える。そして………



-ドォオン…-



『マツ!!!トシ!!!』



-ごぉっ-



起爆札三枚分の爆風に飲み込まれアタシの四方を固める敵ごと吹っ飛ばされる。だけどそのお陰で身体の自由が効く様になって刺さったクナイを引き抜きながら爆煙に包まれる洞窟に駆け寄る。



-ドサッ-

-ボトッ-



『…?』



すぐ真横に鉄に串刺しにされた死体と胴体が真っ二つになった死体、首が無い死体が転がる。そしてその後にボテっと生首が落ちてくる。この三人の死体は弟妹に起爆札付きのクナイを投げた人達。



「焦んなよ、嬢ちゃん」

「大丈夫よ」





※※※





「案ずるな。無事だ」



瓦礫の山から飛び降りて小脇に抱えていた幼子達を離してやると泣きながら姉にしがみつく。そして心底安心した様な笑みを浮かべて弟妹を抱き締める姉。他人事とは思えない光景。



『マツ…!トシ…!良かった…本当に良かった。有難う御座います』



震える声で紡がれた謝礼の言葉。



「ねぇね、けが…」

『怪我?怪我なんてしてないよ』

一同「!?」



と外套を広げてみせるが傷一つ付いてない。前後左右、確かにクナイを刺されたハズだ。だが一切傷は見当たらない。



「でもおくち…ちが…」

『これはトマトよ』

一同「…!?」

『あそこに寝っ転がってる悪い人達に美味しくないトマト食べさせられたからペッてしたの』
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