第4章 零部・氷と血
洞窟の外に出れば視界の悪い猛吹雪。
だけど敵の人数と何処に居るかは把握出来る。地の利は此方にある。恐らく余裕だろう。でも…この山を攻撃させる訳には行かない。崩れてしまえば麓にある町も…洞窟の中で眠る弟妹も一瞬にして死んでしまう。どの様に戦うべきか…大技かまして全員を一瞬で…と言う判断は直ぐに頭から消える。
大技かましたらそれこそ自分で山を粉砕する事になる…しアタシ自身もチャクラ切れでどうもならなくなる。
「手伝おう」
「30人だから一人、6人ね」
『えっ』
「やっと任務っぽくなってきたってもんだ!」
「任務では無い、勧誘だ」
『いや、だから入らな…』
-ひゅっ…-
飛んできた千本をギリギリのところで躱して雪の地に刺さった千本を拾って自らの指に浅く刺して血を滴らせる。
一同「?」
『何処かなぁ…そこかなぁ?返すよ』
-ひゅっ…-
-ぐさっ-
「ゔっ…」
『はい正解。結!』
印を結んで唱えると断末魔が響く。月明かりも何も無いこの暗闇じゃ何が起きたかなんて分かりゃしない。何も見えないこの暗闇で仲間が死んで行く様はさぞかし恐ろしい事だろう。
この恐怖に撤退してくれたら有難い…が恐らくそんな生半可な気持ちでアタシをわざわざ狙いに来た訳では無いと思うし…だから殺す気で殺る。でももし…九死に一生を得た場合は…治す。
まぁそんなのは…二年前に攫いに来た、この人達の仲間だけだろうけど。
※※※
-ドォン-
-パラパラ…-
「ん…あれ?」
「んん~…どうしたの?」
「ねぇね、いない」
「かわや?」
「ふぇっ…ねぇね…」
「おそと、いってみよう」
※※※
-どさっ-
四人目…後二人。多分そろそろ戦闘開始して一分は経過した。だけどここに来て残りのチャクラと気配がパッタリと消えた。暁御一行の動きも止まったって事は全員の気配とかを消す面倒な術者が居るのだろう。こんなにも巧妙に気配を消されては敵全員の気配を探し出すは難しいし感知タイプでは無いからそんな術は持ってない。
『…となると』
一同「?」
取り敢えず全員の動きを封じてしまえばいい。そしたら動けなくなった敵は何かしらボロを出す。
『氷遁・霰乞いの舞』
(氷遁!?)
(成程…確かに血継限界)