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氷華血鎖【鳴門】

第25章 一部・遊郭


記憶を見たのか全てを理解した様に深い溜息を吐くと紅筆を置いて肌蹴た着物の襟元を整えながら立ち上がると戦闘の疲れで動けぬ身体を担がれる。



「下ろせ」

『しっ!まだ結界張って無いから喋らないで』

「………」

『話はそれからよ』



そう言うチヅルの声のトーンは低い。
この部屋にある沢山の豪華な着物。チヅルの格好と姿。此処は………どう見ても………





※※※





イタチさんが此処に来たのが有り得なさ過ぎてとても混乱した。全てを理解するには記憶を見させてもらうのが一番手っ取り早いから覗かせてもらった。そしたらまぁ…どうやらマツの仕業みたいで頭を抱えた。元々何かあった時の為にアタシを口寄せする為のものなのに、まさか逆口寄せさせるとは正直想定外過ぎた。



『どうしてこんなに疲れきってるの』

「…記憶を見たんじゃ無いのか」

『ここ最近、力を調整出来る様にはなったから無闇に見る聞くはしない様にしてる』



見すぎるのも聞こえすぎるのも良い事ばかりでは無いし。



「少し…戦闘になった」



少しくらいだったら貴方がこんなになる訳無いでしょ、と突っ込みたくなるのを堪える。
聞けば木ノ葉の忍と大蛇丸や綱手さんと同じ伝説の三忍の一人、自来也………そして弟ともやりあったらしい。



『そう…無理したのね』

「………」



それで回復がてら村に寄ったらまぁこの有様…って言うのも変だし寧ろアタシの方が色々と説明しなきゃいけない側になってしまった訳だ。





※※※





「お前は何故こんな場所にいる。此処は………遊郭だろう?」



今度は俺が質問する番だった。
幼さを隠す様に化粧を施された色っぽい顔が僅かに歪められる。たかが金稼ぎの為にこんな事をするとは思えない。



『遊郭は…一番手っ取り早く情報収集が出来る場所』

「情報…」



そこで気付く。チヅルは随分と前から遊郭で兄弟の情報収集をしていたのだと。久しぶりに会った時の違和感はこれだと確信した。



『始めはね変化とか使って各国の色んな見世を点々としながら情報収集してたんだけど…あの日…兄弟を見付ける決定点となったものを思い出してアテも無く探すより誘き出す事にしたの』



兄弟を見付ける決定点…そうか。確かあの日は遊女のお陰で見付けられた。
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