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氷華血鎖【鳴門】

第23章 一部・策励


「つーかあの変態何しようとしてんの?」

「さぁ…木ノ葉の里がどうとか言ってたが詳細は知らない」

「兄者がちゃんと聞いてないなんて珍し」



寧ろ詳細の方はちゃんと聞かされてないし側近のカブトも居るから、それで事足りるのだろうと思う。協力が欲しいのであれば、そのうち何らかの伝言や通信は入るだろう。



「で、その太夫とやらは何処の見世に居るんだ?」

「お?興味出て来た?」

「違う。何となくだよ」

「んー…忍五大国の何処か」

「何処かってそんな曖昧な…」

「ほらこれ見てみろよ」



と差し出された雑誌をもう一度、今度は手に取って見る。
五大国の隠れ里にある系列の遊郭を定期的に回ってるらしい。それだけでかなり高額な遊郭であるのが分かる。戦時では無いものの五大国に系列の見世を構えてるって事はそれなりの富豪だしやり手だろう。



「今は風の国だから………風の国だったらこの辺に見世があるらしいけど…」



まぁ会える類の人間では無い。大金持ちに囲われた高級太夫ってところか。俺達が手を出せる様な相手では無い。





※※※





あれから数ヶ月が経過した。
今でも鮮明に覚えてる優しい声と甘い香り。次に会ったら話があると約束をした。だがあれからチヅルと会って無い。



「最近のんびり出来ませんね」

「仕方が無いだろう」

「最近体調が優れない事、報告しては?」

「………」



"気を、付けて………身体には"
チヅルの不安そうな声が頭の中で繰り返し流れる。まるで俺が体調を崩すのを予知してたみたいだと思えてしまう。



「そうすれば休めますし…チヅルさんに診てもらった方が安心なのでは?」

「いや…大丈夫だ」



少し休めば直ぐ治る。この程度…チヅルの手を煩わせる程では無い。





※※※





トクトク、と心地の良い音を響かせながら盃に酒を注ぐ。



『はぁ…風影様?』

「そうなんだよ。ここ最近何考えてるのか全く分からん」



グイッと飲み干すこのお得意様は砂隠れの里の上層部らしい。上層部…にしては少々弱弱しい気もするが人は見掛けに寄らないのもまた事実。零れる愚痴に適当な相槌を打ちながらお酌をする。



「末息子が人柱力なんだが…中忍試験なんかに出して大丈夫なもんかねぇ」
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