• テキストサイズ

氷華血鎖【鳴門】

第23章 一部・策励


「さあって…」

「見付けたら直ぐ帰って来ると思うけど…」

「見付けられなくても休憩って感じでちょいちょい帰って来るし」



暫くは帰って来て無い。この間は一ヶ月前に帰って来たけど、数日したら直ぐ出掛けて行ってしまった。少し前までは村を空けて戻って来たら空けてた分だけ村に居たんだけど、この数ヶ月は圧倒的に村に居ない時間の方が多い。



「ちぇっ…じゃあまたにするか。コレはテメェ等で食いな」

「「わーい!デイダラ有難う!」」

「だーから呼び捨てにすんじゃねぇ!」





※※※





「うおぉお!!!この太夫めっちゃ綺麗!」



と道端で興奮気味に話すシズルを無視する様に先に進む。本屋で何を買ったのかと思えば遊郭雑誌。遊郭の何が楽しいのか俺には理解出来ない。確かにあんな島で育ってるから遊郭や遊女のイロハは知っている。だがだからこそ…興味が無い。



「見ろよ兄者!」



飛び掛る様に首に肩を回してくるシズルは広げた雑誌を俺の目の前に持ってくる。



「!」



白銀の髪の毛の太夫。桃色の瞳。艶やかな紅い目尻と煙管を咥えようとする妖しい深紅の唇。隠し撮りの様なその写真は実によく撮れている。髪の毛のせいか一瞬だけチヅル様かと思ってしまったが…その線は無い。



「確かに美しい女性だな」

「だろ!?」



男への恐怖とトラウマの根源は俺達。トラウマなどそう易々と克服出来るものでは無いし太夫と言えば芸を売る芸妓の最高級な言い方。芸妓であっても男と関わりを持つ場面は多いし、そんな事はしまい。もししてたとしたら…誰かを誘ってる。



「なぁ兄者~ちょっとだけでいいから寄ろう?」

「チヅル様をどうやって誘き出すかの策もまだ考えて無いんだぞ!?」



そう、湯の国へ行って強制連行するのは命取りだ。近付けもしない。だったら俺達の情報を流して誘き出すのが賢いのだが俺達は生憎ビンゴブックにも載ってない一般人だし無闇に血遁も使用出来ないからどうやって誘き出すか作戦すらも考え付いてない現状である。



「えぇ~…」

「それに大蛇丸も今動いてるし拾ってもらった恩もあるから、それまでは無闇に動けまい」

「確かにそうなんだけどさぁ…」



雑誌を開いたまま頭の後ろで手を組むと不貞腐れた様に唇を尖らせブツブツと文句を垂れる。
/ 222ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp