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氷華血鎖【鳴門】

第22章 一部・進展


「どうしたマツ」

「ううん、ちょっと考え事」



何がどう変わった、なんて説明は出来ない…けど………何だろう。距離感とか接し方とか変わらないんだけど姉様を見るイタチ兄様の目が凄く穏やか。
二人に何か進展があったのかなって思うと何だかそれがとても嬉しくて食事が進む。トシより進む。



『じゃあ二人共、気を付けてね』

「「はーい!」」



朝食を食べ終わって変装し終えてトシと一緒に玄関に向かうとエプロンをしたままの姉様がいつも通りお見送りしてくれる。



「ねぇ姉様」

『なぁに?』

「忍ぶれど色に出りけり我が恋は物や思ふと………妹の問うまで」

『…!!!』

「じゃあ行ってきまーす!行くよトシ」

『こら!マツ!』



姉様はもっと素直になった方が良いと思うんだ。



『んもぅマツったら…』





※※※





弟妹を見送った後は昨日、応急処置で済ませた結界をちゃんとした強固なものにする為に村を中心におおよそ半径7km以内のそれぞれの地点に向かう。社、大木樹、滝の裏、断崖絶壁の岩場。



「これ落ちたら即死ですね」

「そうだな」



そんな会話が上から聞こえるのを耳に挟みながら術式を書き終え崖の上に戻る。



「どんな術式を書き足したんですか?」

『暁と村の人間以外で弟妹がアタシの弟妹だと知る人物は通さない』



その説明をし終えたところで頭に直接声が響く。リーダーからの通信だろう。二人も集中する様に神経を研ぎ澄ます。



"最近音隠れと言う里が誕生した。大蛇丸が関与してる可能性がある"



音隠れの里が誕生したのは前回の情報収集で小耳に挟んだけど…大蛇丸が関与してるって情報はアタシは得てない。何処でそんな情報を得たのか…流石と言うべきか。



"サソリとデイダラで密かに調査しろ"



あの二人が音隠れに行くなら次の情報収集の舞台は水か火か。それとももう一度何処か同じ所に行くか、だな。



"イタチと鬼鮫は別任だ。詳細は後程報せる"



そこで声は途切れ、鬼鮫さんが鮫肌を担ぎ直す。



「やれやれ…残念ですが休暇もここまでの様ですね」

「………」



くるりと背を向けて歩き出す二人を引き止めようと喉まで出かかった言葉を無理矢理飲み込む。
気になってる事がある。昨夜、一瞬だけ見えた数枚の絵。
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